質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一五九号

内閣参質一七六第一五九号
  平成二十二年十二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山本博司君提出原爆被爆者支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本博司君提出原爆被爆者支援に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの原爆症認定制度の見直しについては、厚生労働大臣の主催による「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第一回会合を平成二十二年十二月九日に開催したところであるが、今後の同検討会の進め方等については、現時点では未定である。

二について

 御指摘の「日本原水爆被害者団体協議会・原爆症認定集団訴訟全国原告団・原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会と厚生労働大臣との定期協議」については、現在、次回の日程等について、これらの団体と調整を行っているところである。

三について

 厚生労働省としては、同省が広報資料として作成した「平成二十三年度予算概算要求の概要」に掲載している「原爆被爆者対策の調査研究等予算」については、平成二十一年度予算の執行状況等を踏まえ、平成二十三年度予算の概算要求に当たって、所要の見直しを行ったところであるが、今後とも、原子爆弾の放射能に起因する身体的影響及びこれによる疾病の治療に係る調査研究等のために必要な予算の確保に努めてまいりたい。

四について

 厚生労働省としては、広島市などが「黒い雨」の心身の健康に対する影響等について調査を行った「原爆体験者等健康意識調査」の結果等について科学的な検証を行うための検討会をできるだけ早期に開催することとしており、同検討会における検証結果も踏まえ、「黒い雨」に関する研究予算の必要性について検討してまいりたい。

五について

 国内に居住地等を有しない者からの被爆者健康手帳の申請件数は、平成二十二年十月三十一日現在で二百件であり、また、国内に居住地等を有しない被爆者(以下「在外被爆者」という。)からの原爆症認定の申請件数は、同日現在で七十三件である。

六について

 厚生労働省や在外公館のホームページに、在外被爆者のために原爆症認定申請の手続等に関する説明資料を掲載するとともに、海外の医師に対する被爆者医療の研修等を行っている広島県、長崎県、広島市及び長崎市に対して、当該研修等に参加した海外の医師に対し、原爆症認定申請の手続等について周知するよう依頼しているところである。
 なお、これまでのところ、厚生労働省が在外被爆者からの原爆症認定の申請について判断を示した事例はない。

七について

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律(平成二十年法律第七十八号)附則第二条の規定を踏まえ、在外被爆者に対する医療費の助成事業について、平成二十年度以降毎年度、日本国内に居住する被爆者に対する医療費の支給の状況を踏まえ、助成上限額の引上げを行ってきているところである。

八について

 現在、厚生労働省においては、お尋ねの「被爆二世」に対して、健康面での不安を訴える者が多いことに鑑み、健康診断を実施しているところであるが、これまでのところ、原子爆弾の放射線による遺伝的影響があるという科学的知見は得られていないことから、同健康診断にがん検診を加えるなどの措置が必要であるとは考えていない。
 また、現在、財団法人放射線影響研究所において、原子爆弾の放射線による「被爆二世」への遺伝的影響に関する調査研究が行われているところであり、新たに健康調査や実態調査を行うことは考えていない。