質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三六号

内閣参質一七六第一三六号
  平成二十二年十二月七日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出横浜APECと日中・日露首脳会談に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出横浜APECと日中・日露首脳会談に関する質問に対する答弁書

一について

 本年十一月に横浜で開催されたアジア太平洋経済協力(以下「APEC」という。)首脳会議の首脳宣言においては、APECの地域経済統合の課題を進展させるための主要な手段であるアジア太平洋自由貿易圏(以下「FTAAP」という。)の実現に向けて具体的な取組を行うこと、FTAAPは、東南アジア諸国連合(以下「ASEAN」という。)に日本、中国及び韓国を加えたASEAN+3、これにインド、オーストラリア及びニュージーランドを加えたASEAN+6、環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定等の現在進行している地域的な取組を基礎として、これらを更に発展させることにより、包括的な自由貿易協定として追求されるべきであること等が確認されたところである。
 政府としては、「包括的経済連携に関する基本方針」(平成二十二年十一月九日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、TPP協定については、「その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。」としたところであり、今後、基本方針にのっとり、交渉参加国との間で協議を行っていく予定である。

二について

 TPP協定については、基本方針において、「その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。」としたところである。また、この協議は、交渉参加の前段階のものとしており、政府としては、こうした協議の状況や国民の理解の深まり具合などを総合的に勘案しながら、交渉参加についての判断を行うこととしている。
 高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策については、本年十一月二十六日に設置した食と農林漁業の再生推進本部において検討を行っているところである。また、平成二十三年度予算の編成過程においては、戸別所得補償制度を含む農業施策について検討するため、国家戦略担当大臣を議長とし、内閣官房長官、財務大臣及び農林水産大臣をメンバーとする四大臣会合を開催しており、競争力強化に向けた施策内容の充実を図る観点から検討を進めているところである。

三について

 中国からのレアアースの輸出が停滞している問題については、政府として、あらゆる機会を捉え、中国側に改善を求めてきており、今後とも、中国側に働きかけていく考えである。
 東シナ海の資源開発の問題については、政府としては、東シナ海における日中間の協力についての平成二十年六月十八日の合意を速やかに実施に移すため、中国側に対し、引き続き、様々な機会にあらゆるレベルで粘り強く働きかけていく考えである。
 モンゴルとの連携については、本年十一月十九日の日モンゴル首脳会談において、レアアースを含むモンゴルの鉱物資源開発における両国の協力を戦略的に推進することで両首脳が一致したところであり、政府としては、経済関係の互恵的発展を含む戦略的パートナーシップの構築に向け協力を強化していく考えである。

四について

 本年十一月十三日の日露首脳会談においては、菅直人内閣総理大臣から、メドヴェージェフ・ロシア連邦大統領に対し、今般同大統領が国後島を訪問したことは、我が国の立場及び我が国国民の感情から受け入れられないとして、抗議した。これに対し、同大統領からは、ロシア側の基本的立場を踏まえた発言があった。

五について

 メドヴェージェフ・ロシア連邦大統領の北方四島への訪問に関しては、政府として、これまで種々の情報に接していたが、お尋ねについて明らかにすることは、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。

六について

 今般のメドヴェージェフ・ロシア連邦大統領の国後島訪問の背景には様々な事情があると考えられているが、政府として、ロシア側の意図について論評することは差し控えたい。

七について

 本年十一月十三日の日露首脳会談においては、菅直人内閣総理大臣から、メドヴェージェフ・ロシア連邦大統領に対し、北方四島の帰属の問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく、今後も両首脳間で議論していきたい旨述べた。これに対し、同大統領からは、北方領土問題はロシアにとっても極めてセンシティブな問題である旨の発言があった。また、両首脳は、北方領土問題解決のための協議と経済協力のための協議について、首脳同士によるものを含め、これらを進めていくことで改めて一致した。
 政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続き、強い意思をもってロシア連邦政府との間で交渉を行っていく考えである。