質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一二号

内閣参質一七六第一一二号
  平成二十二年十一月二十六日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員渡辺猛之君提出年金記録問題の現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員渡辺猛之君提出年金記録問題の現状に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、年金記録問題への対応については、「国家プロジェクト」として推進しているものである。
 基礎年金番号に統合された社会保険オンラインシステム上の年金記録の件数について、政権交代の前後で御指摘のような差が見られるのは、政権交代前には、未統合記録(基礎年金番号で管理されていない社会保険オンラインシステム上の年金記録をいう。以下同じ。)のうち基礎年金番号に統合される可能性が高いものを有していると考えられる方に送付した「ねんきん特別便」によって、年金記録の統合が比較的容易に行われることが多かったことによるものであると考える。

二について

 政府としては、お尋ねのような具体的な数値目標は定めていないが、できる限り多くの未統合記録を基礎年金番号に統合するための取組を進めているところである。

三について

 厚生労働省としては、年金記録の訂正により新たに年金の受給権を有することとなった方の人数について、平成二十年五月以降のものを把握しているが、これを政権交代の前後でみると、政権交代前の平成二十年五月から政権交代直後の平成二十一年九月末までの間が百七十人、政権交代後の平成二十一年十月から平成二十二年九月十七日までの間が八十四人である。

四について

 未統合記録を基礎年金番号に統合するための事務(以下「年金記録統合事務」という。)については、主として、日本年金機構の設立前は社会保険事務所において、また、日本年金機構の設立後は年金事務所において、それぞれ行っているが、年金記録統合事務に要する費用のみを社会保険事務所又は年金事務所全体の経費から取り出して算出することは困難であるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五の1について

 年金記録確認第三者委員会(以下「第三者委員会」という。)においては、厚生年金に係る記録確認の申立事案について、給与明細等の物的証拠がない場合であっても、一律に訂正不要と判断しているわけではなく、当該申立ての内容を十分にくみ取り、様々な関連資料や周辺事情を検討し、公正な判断を行っているところである。
 なお、厚生年金に係る記録確認の申立事案のうち、一定の基準に該当するものについては、給与明細等の物的証拠がない場合であっても、年金事務所において、第三者委員会に送付することなく、年金記録の訂正を行っているところである。

五の2について

 厚生労働省及び第三者委員会においては、お尋ねのような事例の件数の集計を行っておらず、また、これを行うためには膨大な作業を要することから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六の1について

 「ねんきん定期便」及び「ねんきんネット」は、被保険者又は年金受給者に年金記録を確認いただくことにより、年金制度に対する国民の理解の増進及び信頼の向上を図るとともに、年金記録の正確性の確保を図るという意義を有するものであるが、「ねんきんネット」については、インターネットを活用して、被保険者や年金受給者がアクセスすることにより、いつでも直近の年金記録を確認することができるようにするために必要なものであるのに対し、「ねんきん定期便」については、インターネットを利用することが困難な方を含め、すべての被保険者に定期的に年金記録を確認いただくために必要なものである。
 なお、「年金通帳」は、民主党マニフェストにおいて「「納めた保険料」「受け取る年金額」がわかる「年金通帳」などの仕組みをつくります」などとされているものであり、今後、その実施に向けた検討を行うこととしている。

六の2について

 厚生労働省としては、平成二十二年十月二十八日の行政刷新会議の事業仕分けの取りまとめ内容において、「ねんきん定期便」について、「インターネットではアクセスできない方のためには、郵送サービスが必要という意見もあり、本事業を全面的に否定するものではないがインターネットにきちんと移行させるということをできるだけ早い段階で実施すること」とされていることを踏まえ、今後、「ねんきん定期便」を必要とする方の存在に配意しつつ、利用者のニーズ等を把握した上で、日本年金機構と連携し、「ねんきんネット」への移行計画を策定したいと考えている。