質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九一号

内閣参質一七六第九一号
  平成二十二年十一月十九日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員有村治子君提出尖閣諸島の領有に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有村治子君提出尖閣諸島の領有に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの賃借の経緯としては、魚釣島、北小島及び南小島については、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を図る必要があると判断し、そのために、平成十四年四月から、国が賃借しているところである。また、久場島については、昭和四十七年五月十五日に開催された、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会における合意に基づき、同日から、日米地位協定第二条1(a)の規定に従い、米軍の使用に供するために、国が賃借しているところである。
 魚釣島、北小島及び南小島の三島について、国が支出した賃借料の年額の合計額は、平成十四年度から平成十七年度までの間が、毎年度約二千三百万円であり、平成十八年度から平成二十一年度までの間が、毎年度約二千五百万円である。平成二十二年度については、前年度と同額を支払う予定である。久場島の年間賃借料については、所有者の意向を踏まえ、公表を差し控えているところであり、これを明らかにすることは困難である。
 お尋ねの「買い上げの打診」の有無については、所有者の権利利益を害するおそれ等があることから、お答えすることは差し控えたいが、魚釣島、北小島、南小島及び久場島については、所有者の意向も踏まえ、引き続き国が賃借を継続することとしている。

二について

 政府としては、魚釣島、北小島及び南小島の賃借契約について所有者と連絡をとる際等に、国の機関を除き上陸等を認めないという当該所有者の意向を確認しているところであり、当該所有者の意向を踏まえ、また、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の魚釣島等の賃借の目的に照らして、原則として何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針をとっているところである。
 また、大正島及び久場島については、日米地位協定第二条1(a)の規定に基づき、米軍の使用に供していることから、立入りを行おうとする場合には、米軍の許可を得ることが必要である。

三及び四について

 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。政府としては、尖閣諸島に関する我が国の一貫した立場に基づき、従来から尖閣諸島付近海域において、厳正かつ適切な警備を実施しており、引き続き、万全の体制で警備に当たる考えである。

五について

 政府としては、那覇地方検察庁は、衆議院議長にDVDを提出するに当たり、海上保安庁において海上警備・取締活動の秘匿性への配慮が必要であるとしていること、映像に記録された関係者の名誉・人権の保護に配慮する必要があること等から、同議長に対し、当該DVDの慎重な取扱いを求める旨の要望書を提出したものと承知しており、また、これらの観点に加えて、国際政治情勢への影響も考慮する必要があること等から、仙谷内閣官房長官から衆議院予算委員長に対し、同趣旨の要望書を提出したものである。

六について

 御指摘の髙木文部科学大臣の答弁は、尖閣諸島について指導する際には、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領有権をめぐる問題は存在しないという政府の立場に基づいて行われることが重要であるという旨を述べたものである。
 また、教科用図書は、民間が創意工夫を生かして著作編集を行うものであり、学習指導要領に基づき、どのような事項をどのように記述するかは、当該図書の著作者等の判断にゆだねられている。