質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一七六第六六号
  平成二十二年十一月五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出気候変動に対応した今後の農林水産業への取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出気候変動に対応した今後の農林水産業への取組に関する質問に対する答弁書

一について

 年間の平均気温の上昇に伴い、農作物の高温障害として、米穀の白濁化、果実の着色不良、野菜の結実不良等が発生している。これらの問題に対処するため、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構において、白濁しにくい水稲の品種、結実不良になりにくいなすの品種、白濁化を防ぐ水稲の栽培方法等の開発を行うとともに、高温障害の影響を深刻に受け止めている県において、結実不良になりにくいトマトの品種、着色不良を防ぐぶどうの栽培方法等の開発を行っている。これらの取組のうち実用化された品種及び栽培方法については、農林水産省と県が協同して、農業生産現場における普及を進めている。

二について

 年間の平均気温の上昇に伴う高温障害を防ぐためには、新しく開発した品種の導入を進めることに加え、既存の品種の中から最近の年間の平均気温の変化に適するものを選定し導入を進めることが重要となると考えている。このため、農業者に対する技術指導を行うほか、果樹においては他の品種への改植について補助事業による支援を行っている。今後とも引き続き、これらの対策を講じることとしている。

三について

 海洋生物については、海洋環境の変化によりその分布、回遊等が大きく変化するものであり、農林水産省としては、資源管理及び漁具、漁法等の技術開発に当たり、これらの状況を踏まえ対応しているが、今後とも地球温暖化による影響も注視しつつ、適切な対応を図ることが重要であると考えている。

四について

 平成二十年度及び平成二十一年度に実施した農業生産地球温暖化総合対策事業については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項に基づき、農林水産大臣が定めた「農林水産省政策評価基本計画」に従い、農林水産省が行った事後評価において、平成二十年度の実績は「有効性に問題がある」と評価したが、平成二十一年度の実績は「おおむね有効」と評価したところである。
 また、平成二十二年度から開始した生産環境総合対策事業のうち農業生産地球温暖化対策事業等については、平成二十三年度に事後評価を行うこととしている。
 今後とも引き続き、これらの評価結果を踏まえつつ、二酸化炭素の排出量の削減に資する取組を進めてまいりたい。

五について

 農林水産省としては、平成二十年度以降、施設園芸における石油の消費量の低減を図るため、ヒートポンプの導入に対する補助事業を実施しており、今後とも引き続き、必要な予算の確保に努めてまいりたい。