質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質一七六第三四号
  平成二十二年十月二十六日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランド現象の解明とヒートアイランド対策大綱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランド現象の解明とヒートアイランド対策大綱に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「数値目標」とは、ヒートアイランド対策大綱(平成十六年三月三十日ヒートアイランド対策関係府省連絡会議決定。以下「大綱」という。)に示した「具体的施策の業績指標」のことを指すと考えられるが、これの内容及びその達成状況については次のとおりである。
一 機器の省エネルギー目標
1 乗用自動車
(一) 揮発油を燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成二十二年度において、平成七年度と比較しエネルギー消費効率を二十三パーセント改善する。
(2) 達成状況
 今後調査をする予定である。
(二) 軽油を燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成七年度と比較しエネルギー消費効率を十五パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十七年度において、乗用自動車(軽油を燃料とするものに限る。以下同じ。)の製造又は輸入の事業を行う者であって乗用自動車の生産量又は輸入量がエネルギーの使用の合理化に関する法律施行令(昭和五十四年政令第二百六十七号)第二十二条で定める要件に該当するものが存在しないため、把握していない。
2 エアコンディショナー
(一) 冷暖房兼用のもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十六年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を六十六パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十六年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が六十八パーセント改善された。
(二) 冷房専用のもの等
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を二十パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十九年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が三十二パーセント改善された。
3 蛍光ランプのみを主光源とする照明器具
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を十七パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が三十六パーセント改善された。
4 テレビジョン受信機
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十五年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を十六パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十五年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が二十六パーセント改善された。
5 複写機
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を三十一パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が七十三パーセント改善された。
6 電子計算機
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を八十三パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が九十九パーセント改善された。
7 磁気ディスク装置
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を七十八パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十七年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が九十八パーセント改善された。
8 貨物自動車
(一) 揮発油を燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成二十二年度において、平成七年度と比較しエネルギー消費効率を十三パーセント改善する。
(2) 達成状況
 今後調査をする予定である。
(二) 軽油を燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成七年度と比較しエネルギー消費効率を七パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十七年度において、平成七年度と比較しエネルギー消費効率が二十二パーセント改善された。
9 ビデオテープレコーダー
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十五年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率を五十九パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十五年度において、平成九年度と比較しエネルギー消費効率が七十四パーセント改善された。
10 電気冷蔵庫
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十六年度において、平成十年度と比較しエネルギー消費効率を三十一パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十六年度において、平成十年度と比較しエネルギー消費効率が五十五パーセント改善された。
11 電気冷凍庫
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十六年度において、平成十年度と比較しエネルギー消費効率を二十三パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十六年度において、平成十年度と比較しエネルギー消費効率が三十パーセント改善された。
12 ストーブ
(一) ガスを燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を一パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が二パーセント改善された。
(二) 灯油を燃料とするもの
(1) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を四パーセント改善する。
(2) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が五パーセント改善された。
13 ガス調理機器
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を十四パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が十六パーセント改善された。
14 ガス温水機器
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を四パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が六パーセント改善された。
15 石油温水機器
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を四パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が四パーセント改善された。
16 電気便座
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を十パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が十五パーセント改善された。
17 自動販売機
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十七年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率を三十四パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十七年度において、平成十二年度と比較しエネルギー消費効率が三十七パーセント改善された。
18 変圧器
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、平成十一年度と比較しエネルギー消費効率を三十パーセント改善する。
(二) 達成状況
 平成十九年度において、平成十一年度と比較しエネルギー消費効率が三十三パーセント改善された。
二 住宅、建築物の省エネルギー化率
1 新築住宅
(一) 具体的施策の業績指標
 平成二十年度において、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第五条に規定する住宅性能評価(以下単に「住宅性能評価」という。)を受けた住宅のうち住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(平成十八年経済産業省・国土交通省告示第三号)又は住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針(平成十八年国土交通省告示第三百七十八号)(以下「住宅に係る省エネ判断基準」と総称する。)に適合しているものの割合を五割とする。
(二) 達成状況
 平成二十年度において、住宅性能評価を受けた住宅のうち住宅に係る省エネ判断基準に適合しているものの割合が三十九パーセントとなった。
 なお、新築住宅全体のうち、住宅に係る省エネ判断基準に適合しているものの割合は約一割から二割までと推定している。
2 新築建築物
(一) 具体的施策の業績指標
 平成十八年度において、床面積が二千平方メートル以上の新築建築物のうち建築物に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(平成十一年通商産業省・建設省告示第一号。以下「建築物に係る省エネ判断基準」という。)に適合しているものの床面積の割合を八割とする。
(二) 達成状況
 平成十八年度において、床面積が二千平方メートル以上の新築建築物のうち建築物に係る省エネ判断基準に適合しているものの床面積の割合が八十七パーセントとなった。
三 実用段階にある低公害車の普及
1 具体的施策の業績指標
 平成二十二年度までのできるだけ早い時期において、一千万台以上とする。
2 達成状況
 平成二十一年度において、約二千五十三万台となった。
四 三大都市圏環状道路整備率
1 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、三大都市圏において計画している環状道路のうち供用した道路の割合を六十パーセントとする。
2 達成状況
 平成十九年度において、三大都市圏において計画している環状道路のうち供用した道路の割合が五十三パーセントとなった。
五 道路渋滞による損失時間
1 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、平成十四年度(一年当たり三十八・一億人時間)と比較し約一割減とする。
2 達成状況
 平成十九年度において、平成十四年度と比較し約十七パーセントの削減(一年当たり三十一・六億人時間)となった。
六 信号制御の高度化により短縮される通過時間
1 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、対策実施箇所における通過時間を一年当たり約三・二億人時間(約一割)短縮する。
2 達成状況
 平成十九年度において、対策実施箇所における通過時間が一年当たり約三・〇億人時間短縮された。
七 都市域における水と緑の公的空間確保量
1 具体的施策の業績指標
 平成十九年度において、都市域人口一人当たり十三平方メートルとする。
2 達成状況
 平成十九年度において、都市域人口一人当たり十三・一平方メートルとなった。
八 二酸化炭素排出削減量
1 冷房温度の二十八度への引き上げ、暖房温度の二十度以下への引き下げ
(一) 具体的施策の業績指標
 平成二十二年度において、二酸化炭素排出削減量を約四十四万トンから八十五万トンまでとする。
(二) 達成状況
 平成十九年度において、二酸化炭素排出削減量が約三百三万トンとなった。
2 省エネ法で定められた特定機器以外の機器に関し、よりエネルギー消費量の小さい製品への積極的な買い替え及び利用
(一) 具体的施策の業績指標
 平成二十二年度において、二酸化炭素排出削減量を約三百五十四万トンから四百十二万トンまでとする。
(二) 達成状況
 平成二十年度において、二酸化炭素排出削減量が約六百四十三万トンとなった。
 御指摘の「四つの対策」については、全般的におおむね進展が見られたと考えているものの、ヒートアイランド現象の仕組みや、対策の総合的な評価方法は、いまだ研究途上にあり確立されていないため、御指摘の「四つの対策」がヒートアイランド現象にいかなる効果を及ぼすことができたのかについて、具体的にお答えすることは困難である。
 政府としては、今後大綱を見直すこととしているが、それに示すべき具体的施策の業績指標(目標年を含む。)については、地球温暖化対策その他の関連する分野における施策の進捗状況等も踏まえつつ、検討を行う予定である。

二について

 お尋ねについては、これまでも、都市における土地の利用状況、気象観測結果等の情報からヒートアイランド現象を含む詳細な気温分布等を再現できる「ヒートアイランド解析システム」により、ヒートアイランド現象の監視や、その仕組みの解明に向けた定量的な評価を行ってきているところであり、これらの取組を引き続き実施してまいりたい。

三について

 お尋ねの熱環境に係る基礎的な情報の収集等については、これまでも、緑被率や排熱・廃熱ポテンシャル等に関するデータの整備及び御指摘の「CASBEE-HI」を含むCASBEE(建築環境総合性能評価システム)の普及を行っているところである。今後も、地方自治体による都市環境気候図の策定や熱・流体解析等に必要なデータの整備及びCASBEEの更なる普及に取り組んでまいりたい。
 御指摘の「環境未来都市構想」については、現在、基本的な考え方の具体化等を進めているところであり、その結果を踏まえ、適切な措置を講じてまいりたい。
 熱中症に係る情報については、関係省庁において、それぞれ異なった行政目的の下に把握しており、また、当該情報は、熱中症となった要因別に区分されたものではないため、現時点では当該情報を関係省庁間で統一的に整備することは考えていない。
 お尋ねの「「熱中症ハザードマップ」の策定」については、これまでも、熱中症予防の指標の一つとされている湿球黒球温度の翌日までの予測値を四十七都道府県ごとに算出し、環境省のホームページで公表することで対応しており、今後、その予測方法の精緻化についても、検討してまいりたい。
 お尋ねの「「定置型熱中症指標計」の設置による自動計測の推進」については、湿球黒球温度計を全国八か所に設置し、測定値を公表してきたところであり、今後、生活環境空間の違いに応じた湿球黒球温度の推計方法についても、検討してまいりたい。