質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一七六第二八号
  平成二十二年十月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員中西健治君提出「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」における中小企業対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」における中小企業対策に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 安心実現のための緊急総合対策(平成二十年八月二十九日「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)において導入された原材料価格高騰対応等緊急保証制度、経済危機対策(平成二十一年四月十日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)において導入された緊急保証制度及び明日の安心と成長のための緊急経済対策(平成二十一年十二月八日閣議決定)において導入された景気対応緊急保証制度(以下「緊急保証制度等」という。)に基づき、各地の信用保証協会が平成二十年度(平成二十年十月三十一日から平成二十一年三月三十一日までの間に限る。以下同じ。)に保証承諾した額は九兆二千五十九億円、平成二十一年度に保証承諾した額は九兆九千三百八億円、平成二十二年度(平成二十二年四月一日から八月三十一日までの間に限る。以下同じ。)に保証承諾した額は二兆七千二百四十七億円であると承知している。
 また、平成二十年度に保証承諾した額のうち同年度から平成二十二年度までの間に代位弁済した額は千九百八十六億円、平成二十一年度に保証承諾した額のうち同年度及び平成二十二年度に代位弁済した額は六百四十億円、平成二十二年度に保証承諾した額のうち同年度に代位弁済した額は八億円であると承知している。
 その結果、平成二十年度に保証承諾した額のうち同年度から平成二十二年度までの間に代位弁済した額を平成二十年度に保証承諾した額で除した率は二・一六パーセント、平成二十一年度に保証承諾した額のうち同年度及び平成二十二年度に代位弁済した額を平成二十一年度に保証承諾した額で除した率は○・六四パーセント、平成二十二年度に保証承諾した額のうち同年度に代位弁済した額を同年度に保証承諾した額で除した率は〇・○三パーセントであると承知している。
 なお、お尋ねの据置期間満了時期ごとの保証承諾額、代位弁済額及び代位弁済率については、各地の信用保証協会において捕そくしていないため、お答えすることは困難である。

一の3について

 緊急保証制度等は経済産業省が所管しており、平成二十年度から平成二十二年度までの間に代位弁済した額は二千六百三十四億円、これを平成二十年度から平成二十二年度までの間に保証承諾した額で除した率は一・二一パーセントであると承知している。

一の4について

 代位弁済は、各地の信用保証協会が行うものであり、各々の信用保証協会において会計処理されることとなるが、信用保証協会は、代位弁済を行ったことにより取得した求償権の額から、株式会社日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)からの保険金及び社団法人全国信用保証協会連合会(以下「連合会」という。)からの損失補償補てん金の額を差し引いた額を、貸借対照表の借方に計上することで処理していると承知している。また、お尋ねの「当初予算との差」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府は、日本公庫及び連合会が信用保証協会の代位弁済額の一部を補てんするに当たり必要な資金として、日本公庫に対して出資金を、連合会に対して補助金を支出している。

二について

 中小企業等貸し渋り対策大綱(平成十年八月二十八日閣議決定)において導入された中小企業金融安定化特別保証制度(以下「特別保証制度」という。)に基づき、各地の信用保証協会が平成十年度(平成十年十月一日から平成十一年三月三十一日までの間に限る。以下同じ。)に保証承諾した額は十四兆四千二百二十三億円、平成十一年度に保証承諾した額は六兆四千九百三億円、平成十二年度に保証承諾した額は七兆六千八百七十七億円、平成十三年度に保証承諾した額は三千百三億円であると承知している。
 お尋ねの保証開始時期ごとの代位弁済額及び代位弁済率並びに据置期間満了時期ごとの保証承諾額、代位弁済額及び代位弁済率については、各地の信用保証協会において捕そくしていないため、お答えすることは困難である。
 特別保証制度は経済産業省が所管しており、平成十年度から平成二十二年度までの間に代位弁済した額は二兆六千二百三十四億円、これを平成十年度から平成十三年度までの間に保証承諾した額で除した率は九・〇七パーセントであると承知している。
 各地の信用保証協会による代位弁済後の各々の信用保証協会における会計処理については、信用保証協会は、代位弁済を行ったことにより取得した求償権の額から、中小企業信用保険公庫(当時。以下同じ。)、中小企業総合事業団(当時。以下同じ。)、中小企業金融公庫(当時)又は日本公庫からの保険金の額を差し引いた額を、貸借対照表の借方に計上することで処理していると承知している。また、お尋ねの「当初予算との差」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府は、中小企業信用保険公庫及び中小企業総合事業団が信用保証協会の代位弁済額の一部を補てんするに当たり必要な資金として、中小企業信用保険公庫及び中小企業総合事業団に対して出資金を支出していた。
 なお、緊急保証制度等については、平均保証期間が約八年である一方、制度開始から二年程度しか経過していないため、現時点で、特別保証制度の実績との比較を踏まえて評価することは困難であるが、緊急保証制度等は、平成二十年の経済危機後の混乱期を始め、これまで中小企業金融の円滑化に大きく貢献してきていると認識している。

三について

 御指摘の「保証額」とは、保証債務残高のことを指すと考えるが、今後の保証債務残高の推移については、経済状況の変化や制度を利用している中小企業の債務返済の状況等により変わるものと認識しており、お答えすることは困難である。

四について

 今後の代位弁済額及び代位弁済率の状況については、経済状況の変化や制度を利用している中小企業の債務返済の状況等により変わるものと認識しており、お尋ねにお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「日本政策金融公庫等の財政基盤を強化すること」とは、具体的には、日本公庫に対して出資金を、連合会に対して補助金を支出することである。

六について

 円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策(平成二十二年十月八日閣議決定。以下「緊急総合経済対策」という。)においては、景気対応緊急保証制度が期限切れを迎える平成二十三年度においても、借換保証の拡充、セーフティネット保証や小口零細保証等の対策の重点化を行うこととしたところである。

七について

 緊急総合経済対策における中小企業対策として計上される具体的な国費の額については、現在政府内で検討中であるが、資金繰り支援、技術開発及び海外展開支援、新規の事業活動への支援、地域商業の活性化並びに人材育成支援に係る措置について、総額五千七百億円余りを見込んでいる。

八について

 緊急総合経済対策に盛り込まれた資金繰り支援策は、厳しい状況にある中小企業を資金繰り面において下支えするものであるが、中小企業が国際競争力の向上に向けて取り組むために必要な資金の調達にも資する面があり、さらに、経済構造の変化等を踏まえた、転業や新分野進出等に取り組むために必要な資金の調達に資する面もある。