質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一九六号

高等学校における不登校生徒の出席扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   高等学校における不登校生徒の出席扱いに関する質問主意書

 文部科学省は平成二十一年三月十二日に初等中等教育局長名で「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の対応について」の通知を発出した。
 これは、生徒が学校外の機関で相談、指導を受ける意欲を引き出し、生徒の努力を学校として評価するため、不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合は、指導要録上の出席扱いとするものである。また、それに加え、指導要録上の出席扱いとなった不登校生徒を対象に、当該生徒の学校外施設への通所に要する交通費の負担を軽減するため、通学定期乗車券の適用も可能にした。
 この制度については、ある地域の不登校(フリースクール通所)の生徒を持つ保護者から、フリースクールに通うのに通学定期が利用できて経済的に有り難い、有効な制度であるとの声を頂いている。
 平成二十二年九月十四日に発表された「平成二十一年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(以下「本調査」という。)によれば、不登校生徒数は五万千七百二十六人、学校外の機関等で相談・指導を受けた人数は一万九十三人、そのうち指導要録上出席扱いした人数は三百三十七人となっている。
 しかし、本調査では、「不登校生徒のいる学校数」や、「通学定期乗車券制度の適用を行った人数」などは公表されていない。また、「不登校生徒数」については、都道府県別の結果は公表されているものの、他の調査項目については、国公私立別の全体数のみの公表にとどまっている。
 さらに、この制度の利用状況については、地域の格差が出ているのが現状である。不登校の現状は地域によって様々であるが、有効な対策を立てるためには、きめ細かい情報提供を行い、関係者の積極的取組、さらなる周知徹底を促すことが必要であると考える。
 そこで、以下質問する。

一 この制度の周知について、例えば、神奈川県においては、「民間施設等に通所した日数の指導要録上の扱いについて(通知)」という文書を、不登校の生徒を持つ保護者に通知している。このように学校側が不登校の生徒を持つ保護者に対して、文書等で連絡・通知を実施している例(件数)を政府は承知しているか。承知している範囲で具体的に明らかにされたい。また、承知していないのであれば早急に把握し、周知徹底に取り組むべきであると考えるが、政府の見解如何。

二 この制度の利用状況において、地域間格差が発生している現状について、政府としてどのように分析しているのか。さらにこの制度の利用度を高め、地域間格差を解消するための方法等について政府の見解如何。

三 本調査において、今後「不登校生徒のいる学校数」や「指導要録上出席扱いした学校数」等学校単位の数値についても、「相談・指導等を受けた学校内外の機関等」、「指導要録上出席扱いした人数」等の項目と併せて都道府県別の調査結果を含めて公表すべきと考えるが、政府の見解如何。公表しない場合はその理由を示されたい。

四 学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について、現在把握している都道府県別の適用件数を示されたい。また、今後本調査の調査項目に追加すべきと考えるが、政府の見解如何。

五 本調査によれば、「相談・指導等を受けた学校外の機関等」として「病院・診療所」が最多となっている。しかし、平成二十一年三月十二日の初等中等教育局長通知の趣旨について、これら教育委員会所管以外の機関等に対しても適切に周知徹底が図られているか懸念がある。この点について、政府が把握している各地の取組状況を示されたい。また、一層の周知徹底を図るための方策等について政府の見解如何。

  右質問する。