質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八九号

電気自動車への改造事業の振興に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   電気自動車への改造事業の振興に関する質問主意書

 ガソリン車などの既存自動車から電気自動車(EV)への改造(以下「改造EV」という。)、特に地方発の改造EVあるいは小型EVの開発・販売を新たなビジネスとして構築すべきである。
 中古自動車販売業界や自動車整備業界は現在、長期の不況に苦しんでいる。特に、群馬県など地方の中古自動車販売や自動車整備の事業者は全国で十数万社ともいわれるが、エコカー新車優遇などで中古車の大量在庫を抱えたり、定期点検の実施率の低下などで、急激な業績悪化に追い込まれている。
 しかし、大手自動車産業がある群馬県太田市等においては、中堅企業による改造EV、超小型EVの開発・普及の動きが急である。また、同市においては、産学官協同プロジェクトであるEV研究会による超小型EVの開発の動きがあり、新しい地域発の事業として期待するところとなっている。
 そこで、地球環境対策に貢献しつつ地方の雇用創出にも直結する改造EVあるいは小型EVの開発・販売の事業化に活路を開くべきである。
 日頃、地域で自動車を取り扱う両業界は、地方の知的財産の先進的取組として、例えば、一台約百万円の改造EVを整備工場一社で年間百台製品化するとして、整備工場十数万社のうち一万社が対応できれば一兆円産業が成立し得る。我が国として年間数百万台の改造EV生産にも対応できる能力をいち早く達成できるように業界を育成すべきである。中古車の販売促進にとどまらず海外輸出にも対応しつつ、地域社会のスマートコミュニティやスマートグリッドへの転換などのグリーンイノベーションに展望を開くなど、地方の元気づくりにも貢献できる。
 そこで、地域における改造EV事業の育成に関して、以下提案と質問を行う。

一 改造EVに対する投資促進や研究開発に関する支援策について

 改造EVあるいは小型EVについては、既に諸外国でも普及に向けた広範な動きが出てきている。このような動きを軽視すると、海外の動きに我が国が立ち遅れ、技術開発等の主導権をとれないだけでなく、輸入版改造EVに翻弄されかねないことを知悉すべきである。
 政府は産業政策上、改造EV事業の振興に努めるべきである。その具体策の第一として、新車EVに限らず改造EVに対しても、投資促進や研究開発に関する支援策を講じるべきであると考えるが、政府の見解如何。

二 改造EV普及に向けた自動車整備業者や中古自動車販売業者に対する拠点構築のための支援策について

 低コストの改造EVの開発や普及には、地域の自動車整備業者の知恵や協力が必要である。また、改造EVの流通や販売には、中古自動車販売業者の役割も重要である。改造EV事業をビジネスとして成立させるためには、各地にEVコンバージョン産業の基盤、具体的には自動車整備業者や中古自動車販売業者の拠点構築が必要と考える。そこで、補助金を含めた支援策が要請されるが、政府の見解如何。

三 改造EVと総合特区制度の活用について

 改造EVや小型EVの事業化は、新車EVと同様に我が国の新成長戦略の具体的な中身であると考える。現在、政府の来年度予算概算要求において総合特区制度が議論されているが、規制の特例、税制・財政・金融による総合支援を行う同制度を、改造EVについて活用できないか、政府の見解如何。
 特に、この改造EV、小型EVは環境未来都市づくりにも貢献でき、総合特区制度において特別枠を新設すべきであると考える。見解如何。

四 改造EVの普及拡大とクレジット認証制度の設計変更について

 我が国には、現在CO2排出を削減した場合のクレジットの売買の制度が存在する。それは、経済産業省の国内クレジット制度であり、環境省が進めるJ-VERである。改造EVの普及や事業展開を進展させるために、ガソリン車等からの改造車を対象に走行キロ数に応じて一定のクレジットが発生できるよう、クレジット認証制度の設計変更等を検討すべきであると考えるが、見解如何。

五 改造EVに対する税制上の支援措置について

 改造EVは、CO2の削減に貢献するばかりか、CO2以外の大気汚染物質も皆無となる。従って、これらの意味を踏まえて、自動車関係諸税について、現在の新車EVに対して実行中の減・免・無税などの措置を、改造EVに対しても適用すべきである。見解如何。

  右質問する。