質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八八号

大学生の就業力強化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

谷合 正明   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   大学生の就業力強化に関する質問主意書

 大学生をとりまく厳しい雇用情勢のもと、平成二十二年度より新たに大学生の就業力育成支援事業が始まった。本事業では、大学生の職業力育成の向上に対する教育改革への支援を、五年間の継続支援として行うものとされている。本事業は本年六月十八日に閣議決定された新成長戦略にも強化がうたわれ、九月六日には、事業の早期実施を促す文部科学大臣政務官名の通知が発出されたにもかかわらず、十一月十八日の行政刷新会議の事業仕分けで廃止の評価結果を受けた。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 本年六月十八日の新成長戦略の工程表において「大学の就業力向上プラン」の実施が掲げられた理由、及び同年九月六日に、事業の早期実施を促す文部科学大臣政務官名の通知が発出された理由を明らかにされたい。

二 本年十一月十九日の参議院予算委員会で菅総理大臣は、大学生の就職支援について、「今年最も力を入れなければならない」と答弁しているのにもかかわらず、総理大臣が議長をつとめる行政刷新会議が、大学生の就業力育成支援事業を廃止と判定した理由を明らかにされたい。

三 自公政権時に、学生の就職支援体制の強化を図る必要性から、大学教育・学生支援推進事業が開始されたが、昨年十一月の行政刷新会議による事業仕分けにおいて、予算の縮減との評価がなされた。民主党政権になって、今年度からは、学生の卒業後の社会的・職業的自立が図られるよう、大学の教育改革の取組を国として支援するため、大学生の就業力育成支援事業がスタートした。この大学生就業力育成支援事業は、新成長戦略で強化が図られ、事業の前倒しが促進されたのにもかかわらず、本年の事業仕分けで廃止との評価がされた。こうした一連の経緯は、事業仕分けの評価と政府の方針とが矛盾するだけでなく、大学側に大きな混乱を与えているものと解されるが、政府の見解を示されたい。

四 「事業仕分けの評価結果については、行政刷新会議のワーキンググループの意見表明であり、評価結果を踏まえた政府の施策は、行政刷新会議の審議あるいは政府内の調整を経て、内閣として法律に基づいて決定していく」旨、行政刷新担当大臣は答弁をしている。今回の大学の就業力育成支援事業に対する廃止判定以降、行政刷新会議の審議あるいは政府内の調整は、いつ、どこで、誰が実施したのか明らかにされたい。

五 来春卒業予定の大学生の就職内定率が過去最低となっている現状と、政府側の要請を受け大学側が五年間の継続支援を前提に準備に着手している現状から、継続の結論を政府として早急に出すべきと考える。今回政府は、事業仕分けの評価結果どおり、本事業を廃止するのか、事業を見直し縮小をするのか、あるいは見直しをせず五年間継続するのか、方針を明確にされたい。

六 事業仕分けの評価者のコメントでは、学生の就職支援活動及び就業力育成は大学の本来業務であると指摘されているが、大学の本来業務であるか否かについての政府の考えを明らかにされたい。

  右質問する。