質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八五号

朝鮮学校の無償化手続きの停止に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

義家 弘介   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   朝鮮学校の無償化手続きの停止に関する質問主意書

 高等学校等就学支援金の支給の対象となる外国人学校の指定については、外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものであるということが「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の審議の過程で政府統一見解として示されている。
 高木文部科学大臣は、平成二十二年十一月五日の談話で、「もとより、就学支援金は学校に支給されるものではなく、生徒個人個人に対して支給されるものです。また、国籍を問わず、我が国において後期中等教育段階の学びに励んでいる生徒を等しく支援することは、教育についてのすべての者の権利を謳っている国際人権A規約の精神にも沿うものと考えます」と述べている。
 朝鮮高級学校の教科書『現代朝鮮歴史』には、大韓航空機爆破事件については「南朝鮮当局はこの事件を「北朝鮮工作員金賢姫」が引き起こしたとでっち上げ(以下略)」、拉致問題については「日本当局は「拉致問題」を極大化し(以下略)」との記述がある。
 高木文部科学大臣は、平成二十二年十一月十一日の参議院文教科学委員会において、朝鮮高級学校の教科書『現代朝鮮歴史』の記述について、「政府の統一見解、政府見解とは異なる表現だと思っています」と答弁したものの、教育基本法第二条に違反する内容の教科書ではないかという旨の質問に対しては、「現実にそのような教科書を使っておる、いわゆる都道府県の知事が認可をした朝鮮学校は運営をされておる、こういう事実であろうと思っております。法違反であればそういうことはできないのではないか、それに基づいて今現実に運営をされていることは事実でございます」と答弁している。
 さらに、高木文部科学大臣は、同委員会において、朝鮮学校が教育基本法第十六条に違反しているとの指摘に対し、自ら求め、「法律違反を犯しておる、これはゆゆしき発言だと思っております。都道府県知事が認可をした朝鮮高校は、もう私が言うまでもなく、全国で十校ございます。東京都においては昭和三十年度から、大阪府においては昭和四十九年度から朝鮮学校について助成をしております。法律違反を犯していないということで私はこのような存在があると、このことだけはしっかり承知をして、御理解をいただきたいと思います」と答弁している。
 十一月二十三日の北朝鮮による韓国砲撃事件を受け、政府は朝鮮学校に対する無償化手続きを停止した。十一月三十日までに全国十校の朝鮮学校が申請を行い、文部科学省に受理されたが、審査は停止されている。
 そこで、次の事項について質問する。

一 右平成二十二年十一月十一日の参議院文教科学委員会における高木文部科学大臣の答弁は、政府統一見解と異なる内容の教科書であっても、都道府県知事が朝鮮学校を認可している以上、教育基本法に違反していないとしたものと理解できるが、高木大臣の発言は政府としての統一見解であるか、見解を示されたい。

二 右平成二十二年十一月十一日の参議院文教科学委員会における高木文部科学大臣の発言は、都道府県知事が朝鮮学校を認可しており、公費助成も行われている以上、朝鮮学校は教育基本法に違反していないとしたものと理解できるが、高木大臣の発言は政府としての統一見解であるか、見解を示されたい。

三 「高等学校等就学支援金の支給の対象となる外国人学校の指定については、外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものである」という政府統一見解、「もとより、就学支援金は学校に支給されるものではなく、生徒個人個人に対して支給されるものです。また、国籍を問わず、我が国において後期中等教育段階の学びに励んでいる生徒を等しく支援することは、教育についてのすべての者の権利を謳っている国際人権A規約の精神にも沿うものと考えます」という大臣談話、右平成二十二年十一月十一日の参議院文教科学委員会における高木文部科学大臣の「朝鮮学校は教育基本法に違反するものではない」という趣旨の発言にかんがみ、高等学校等就学支援金の支給の対象となる外国人学校の指定については、外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、就学支援金は学校に支給されるものではなく生徒個人個人に対して支給されるものであり、なおかつ朝鮮学校は教育基本法に違反するものではないとの高木文部科学大臣の見解にもかかわらず、なぜ政府は北朝鮮による韓国砲撃事件を受け、朝鮮学校に対する無償化手続きを停止したのか、見解を示されたい。

四 朝鮮学校に対する無償化手続きの再開の条件について、見解を示されたい。

  右質問する。