質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八二号

経済産業省大臣官房付の古賀茂明氏の出張に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

世耕 弘成   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   経済産業省大臣官房付の古賀茂明氏の出張に関する質問主意書

一 経済産業省大臣官房付の古賀茂明氏は本年十月四日から十五日にかけて北海道、東北、九州、四国に出張している。この出張に関する報告書(以下「本報告書」という。)が提出されたのはいつか。それは誰に対してか。本報告書が経済産業事務次官に報告されたのはいつか。日時を特定して示されたい。

二 初めて経済産業大臣が本報告書を自分の目で見たのはいつか。日時を特定して示されたい。

三 二の時点では、本報告書に別紙5は含まれていたのか。

四 三で本報告書に別紙5が含まれていた場合、以下について示されたい。

1 経済産業大臣に対して、別紙5は本報告書の一部ではないという説明が経済産業省事務方からあったのか。あったとすれば、それは誰からか。
2 1の説明の理由は何だったのか。
3 2の理由に経済産業大臣は納得したのか。経済産業省事務方が経済産業省に都合が悪いことだから隠そうとしていると思わなかったのか。
4 別紙5は本報告書の一部ではないという説明がなかった場合、経済産業大臣は当然別紙5は本報告書の一部だと認識したのではないか。少なくとも本報告書の一部ではないという認識には至らなかったのではないか。

五 三で本報告書に別紙5が含まれていなかった場合、以下について示されたい。

1 経済産業大臣はいつ別紙5の存在を知ったのか。日時を特定して示されたい。
2 誰が経済産業大臣に別紙5の存在を知らせたのか。
3 経済産業省事務方は、どういう理由でそれまで経済産業大臣に別紙5を見せなかったのか。初めて経済産業大臣に別紙5を見せた際、経済産業省事務方はその理由を経済産業大臣にどう説明していたのか。
4 3の理由について誰が経済産業大臣に説明したのか。その理由について経済産業事務次官は了解していたのか。経済産業事務次官は別紙5の存在を当初経済産業大臣に知らせないことについて了解していたのか。

六 経済産業省が国会に本報告書を提出する際、最初に民主党の関係者(予算委員会の委員長、理事等)に事前に相談したのはいつか。日時を特定して示されたい。その民主党関係者は誰か。また、相談は経済産業省の誰が行ったのか。

七 六の相談の際、別紙5の存在を明らかにしたのか。

八 国会に本報告書を提出する際に経済産業大臣が別紙5の存在を知っていた場合、別紙5が含まれない形で国会提出することに経済産業大臣は同意したのか。何故、別紙5を削除して提出することに同意したのか。経済産業大臣が積極的に指示したのか。

九 八で経済産業大臣が、積極的に指示したのではない場合、経済産業省事務方の誰がそれを進言したのか。その者は経済産業事務次官の判断を経た上で経済産業大臣に進言したのか。

十 国会に本報告書を提出する際に経済産業大臣が別紙5の存在を知らなかった場合、いつそれを知ったのか。日時を特定して示されたい。誰がその旨を報告したのか。何故その時点まで別紙5の存在を経済産業大臣に知らせなかったのか。また、何故その時点でその旨経済産業大臣に知らせたのか。

十一 経済産業省は、予算委員会の誰に対して本報告書を最初に提出したのか。その際、別紙5の存在を説明したのか。提出したのは誰か。

十二 経済産業省が初めて予算委員会の民主党関係者に対して別紙5の存在を説明したのはいつか。日時を特定して示されたい。また、誰に対してか。何故、別紙5の存在を説明したのか。その際、それまで別紙5の存在を説明しなかった理由をどのように説明したのか。

十三 経済産業大臣は、別紙5は私的なものであり、公的文書としては扱わなかったと述べているが、経済産業省内で複数の者によって保有されており、経済産業大臣にまで報告されているのだから公的文書に当たるのではないか。何故これを私的なものだと判断したのか。

十四 経済産業大臣は、出張報告書には、通常「所感」は含まれないと述べているが、通常の出張報告書には何が含まれるのか。ひな形があるのか。所感というタイトルを付けた場合、その内容にかかわらず、出張報告書として扱わないことになっているのか。出張で得た情報をもとにした政策の問題点の指摘や政策提言を記載した部分が出張報告書ではないとする理由如何。
 また、経済産業大臣は、「所感」を外して国会に提出したことにつき、会見で「古賀さんとお話しした上で提出した」と述べている。これに関し、以下について示されたい。
1 古賀氏に、いつ、誰が、どのような話をしたのか。
2 1の話に対して、古賀氏は何と回答したのか。「所感」を外して提出することにつき、了解したのか。
3 1及び2の経緯について、経済産業大臣は、自ら古賀氏と話したのでないとすれば、いつ、誰から報告を受けたのか。

十五 本報告書は、一つの電子ファイルで提出されたのか、複数に分けて提出されたのか。

十六 十五で一つのファイルとして提出されていた場合、タイトルも一つの「出張報告」とされているにもかかわらず、その一部を出張報告書ではないと考えるのは極めて不自然ではないか。別紙1~4は秘密部分を黒塗りして提出したのに、別紙5は黒塗りにもせず、全体を存在しないかのように扱った理由は何か。別紙5が秘密に当たるからではなく、経済産業省にとって都合の悪い情報が含まれているからではないか。

十七 古賀氏に対して、本報告書の一部の訂正を求めた事実はないか。あるとすれば、誰がいつ、どのように行ったのか。仮にそのような行為があった場合、政府はその行為についてどう評価するのか。その者の責任をどう考えるか。

十八 古賀氏が出張に出た翌日の十月五日に拡大経済産業局長会議が行われており、その場で各地域の経済状況について経済産業大臣に報告が行われている。その報告のために各局で企業調査を行っているが、全部で何社の状況調査を行ったのか。数百社の調査を行ったのではないか。

十九 十八の調査の他にわざわざ古賀氏を派遣して調査を行ったということは、古賀氏でなければできない調査だったと考えられるが、どの点が古賀氏でなければできない調査だったのか。

二十 古賀氏に特別な期待をして行った調査でありながら、古賀氏が出張に基づいて行った政策提言等を出張報告書ではないという扱いにするのは本件調査本来の意義を失わせるのではないか。あえて、古賀氏の政策提言を出張報告書でないとして扱った理由如何。

二十一 本報告書について、情報公開法に基づく公開請求がなされた場合、別紙5は黒塗りでなく、存在自体を否定できるものだと考えているのか。

二十二 複数の者によって共有されており、経済産業大臣にまで報告されている文書は行政文書であり、別紙5は公開対象となる。公開対象となる文書を国会報告に当たってあえて存在自体を否定したことは、国会を欺く行為ではないか。

二十三 一つの公文書の一部を削除してもともと存在した真正の文書だと称して提出する行為は公文書偽造・同行使罪に当たるのではないか。

二十四 古賀氏を派遣した四地域以外について同様の調査を行うべきではないか。古賀氏を他の地域に派遣する予定はあるのか。派遣する予定がない場合、何故、他の地域に派遣しないのか。

二十五 四地域だけは、追加的調査を行う必要があったということであれば、四経済産業局のみは十分な調査を行う能力がないということになる。それらの地域の経済産業局の存在意義はないのではないか。

  右質問する。