質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六一号

核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(「ウィーン・コミュニケ」)における「グローバル・センター」設立等の勧告に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月二日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(「ウィーン・コミュニケ」)における「グローバル・センター」設立等の勧告に関する質問主意書

 川口順子元外相及びギャレス・エバンス元豪外相が共同議長を務める「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(以下「委員会」という。)の最終会合が平成二十二年七月二日から四日まで開催され、同会合の結果を踏まえ、委員会の目的と成果が今後どのように引き継がれ発展していくかについての勧告「ウィーン・コミュニケ」が採択された。
 委員会では、核不拡散・核軍縮に関する「グローバル・センター」を設置することを勧告した。その役割は、二〇一〇年NPT再検討会議の最終文書、特に委員会の報告書に盛り込まれた行動課題に関しての核保有国と非核保有国双方及び関係国際機関の実行状況を評価する年次「成績表」(レポート・カード)を発行し、これに関連する提唱活動を行うこと、また、モデル核兵器禁止条約を洗練し策定することを目的とした世界規模の研究を主導することにある。
 この「ウィーン・コミュニケ」を受けて、オーストラリアやオーストリア、スイスなどの国々が「グローバル・センター」の全体または一部を受け入れる可能性を表明している。我が国は、唯一の被爆国として、原爆被害の体験と実相はもとより、核兵器の使用がもたらす地球環境や社会への影響等を広く世界に発信し、核のない世界に向けた世界的貢献をするために、積極的に取り組むべきであると考える。
 そこで、以下質問する。

一 委員会では、「グローバル・センター」について、前述の各国が受け入れる可能性を表明しているとされているが、それらの提案の具体的な内容や、その他の国々の状況を政府として把握しているか。

二 提案の中で、ギャレス・エバンス共同議長が学長を務めるオーストラリア国立大学(ANU)の中に、「グローバル・センター」の一部を設置するなどの構想も聞かれる。こうした構想を参考にしつつ、日本としても、広島市や長崎市などの地方自治体、大学教育機関、国連機関、NGO等と連携し「グローバル・センター」の一部を設置するなど積極的に取り組んでいくことも考えられる。政府として、これらの地方自治体や機関等とこれまで協議を行ってきたかどうか明らかにされたい。また、政府として「グローバル・センター」等の構想の実現に向けてどのような取組をしているか明らかにされたい。

三 菅首相は、平成二十二年八月六日の「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」の挨拶の中で、「核兵器使用の悲惨さや非人道性」を世界に発信する重要性について述べている。具体的な発信としては、例えば、被爆国としての調査・研究・広報を担う機関として「グローバル・センター」の一部を設置することなどが考えられる。政府として、「非核特使」を世界に派遣することの他に、核兵器使用が何をもたらすかについて世界に発信するために、将来を見据えたどのような提案を具体的に考えているのか明らかにされたい。

四 委員会は、「ウィーン・コミュニケ」第四二節にもみられるように、大学、教育機関その他の研修機関等における核軍縮に関する教育を発展させることを提言している。政府は核軍縮に関する教育を重要事項として掲げているが、委員会の提言も踏まえ、軍縮教育に関する予算を拡大させつつ、地方自治体や教育機関との連携をさらに深めるべきと考えるが、政府としての方針を明らかにされたい。

  右質問する。