質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六〇号

防衛事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月一日

佐藤 正久   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   防衛事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」に関する質問主意書

 平成二十二年十一月十日に、防衛事務次官名で発出された「隊員の政治的中立性の確保について」とする通達は、憲法の趣旨に抵触する可能性もあると認識している。
 またこれまで長きにわたり、全国の基地・駐屯地等の協力団体から、様々な場面において、自衛隊の活動に対して物心両面の御支援をいただいてきた。今回の通達は、通達を受けた部隊等の捉え方、対応によって、その協力団体との信頼関係を損なうものであり、断じて看過できるものではない。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 当該通達は自衛隊員へ向けて発出されたものであり、通達自体は協力団体等部外の民間人を拘束するものではなく、何ら法的に問題はないとされている。しかし、その通達に基づき、自衛隊の部隊等が実施した対応の結果、民間人に対して会合への「参加を控えるよう」要請したり、部外における協力団体等の会合に隊員を「参加させない」ということを以て、それが有形無形の「圧力」となり、結果的に民間人を拘束することとなれば、問題であると認識しているが、政府の見解如何。

二 自衛隊員が職務において、特定の政党または内閣を支持し、またはこれに反対する目的をもつ集会等に参加し、挨拶または紹介を伴った場合、自衛隊法施行令第八十七条に抵触することは当然であるが、政治的目的が存在しない自衛隊協力団体等の会合に参加し、他者が政治的発言を行い、そこに同席していただけでも、自衛隊法施行令第八十七条第一項第一号に規定する「官職、職種その他公私の影響力を利用」または同条第二項第一号に規定する「公然又は内密に隊員以外の者と共同して行う場合」に抵触するのか。政府の見解如何。

三 当該通達発出に至る要因は、自衛隊施設内で実施された行事における自衛隊協力団体の長による挨拶であるとされているが、当該通達の問題認識は、その自衛隊協力団体の長による挨拶の内容であるのか、または政治的目的のために自衛隊の施設を使用させたとされることであるのか。政府の見解如何。

  右質問する。