質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五九号

原爆被爆者支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月一日

山本 博司   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   原爆被爆者支援に関する質問主意書

 原爆被爆より今年で六十五年を迎えており、原爆被爆者の方々の平均年齢は七十六歳を超えている。そうした中、原爆症認定問題や広島黒い雨問題・在外被爆者・被爆二世支援など多くの課題がいまだ山積しており、さらなる原爆被爆者への支援拡充が必要と考える。
 そこで以下質問する。

一 平成二十二年四月から十月までの原爆症認定審査四千四百六十九件のうち、認定されたのは八百七十四件であり、三千五百九十五件が却下となっている。認定基準において、七疾病について積極的認定となっている中で、心筋梗塞などの四疾患が「放射線起因性が認められる等」の限定条件がついているため、大量却下につながっている。
 平成二十二年八月六日の参議院厚生労働委員会においてこの問題を質問した際、法改正による原爆症認定制度の見直しについて、当時の長妻厚生労働大臣は「十月までに委員会・有識者会議を設置してその会議体で一定の時間をかけて成案を得ていきたい。」と答弁していた。すでに時期は過ぎているが、現状はどのようになっているのか。また、今後どのような手順で進めていくつもりか、政府の見解を明らかにされたい。

二 被爆者との定期協議は本年一月以来開催されていないが、新大臣となり定期協議を早期に実施すべきと考える。見解を示されたい。

三 原爆被爆者対策の調査研究等予算については、平成二十二年度五十億円に対して平成二十三年度概算要求額は四十一億円と削減されている。この削減理由を明らかにされたい。また、研究を拡充すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 広島原爆の黒い雨に遭いながらまだ健康被害に苦しむ被災者が被爆者援護を受けられないでいる「黒い雨問題」について、平成二十二年八月六日の参議院厚生労働委員会で質問したが、当時の長妻厚生労働大臣は「秋ぐらいまでに新たな会議体を設置して、その調査結果について検証をしていって必要な措置があればその必要な措置を考えていく。」と答弁した。しかし、それでは対応のスピードが遅いのではないか。「黒い雨問題」の会議体の具体化について、今後のスケジュールを含め政府の見解を明らかにされたい。
 また、平成二十三年度概算要求には黒い雨研究予算が含まれていないが、今後予算化をするべきと考える。政府の見解を示されたい。

五 平成二十年の改正被爆者援護法の施行以降、日本に来なくても可能となった健康手帳の申請状況と原爆症認定の申請状況について示されたい。

六 日本以外の国の医師が「原爆認定申請」の仕組みや意味について知らないため、適切な診断書が作成されず、申請却下されるケースも出ていると指摘されている。広報活動の充実が必要であると考えるが、対策について政府の見解を示されたい。

七 平成二十年の被爆者援護法改正法の附則第二条の規定に基づき、早急な医療費支給の内外格差是正が求められるが、医療費の上限枠撤廃などの対策について政府の見解を示されたい。

八 被爆二世が抱える健康問題や差別の問題はまだ解決されておらず、施策の拡充が必要である。中でも健康診断にがん健診を加えることや被爆二世へのさらなる健康調査・実態調査が求められると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。