質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五八号

合併処理浄化槽の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月一日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   合併処理浄化槽の推進に関する質問主意書

 人口集中地域から汚水処理施設整備が進められ、今や、生活排水処理施設の全国の水洗化率は人口普及率で八十五%を超えるまでになった。しかし未だ十五%の汚水未処理地域が存在する。
 即ちわが国には、中山間地域など人口散在地域を中心に二千万人弱(千九百三十四万人)の汚水未処理人口が存在し、一世帯三人で計算すると約六百五十万世帯がその恩恵に浴していない現実がある。群馬県は林野面積が六十八%であり、山・谷が多い県である。管渠を配備するには多大なコストを要する。従って、浄化槽の導入・普及が求められているが様々な課題が横たわっている。
 そこで、以下質問する。

一 浄化槽事業に対する助成率の問題について

 地域再生基盤強化交付金のうち、汚水処理施設整備交付金については、下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽事業のなかで、国の汚水処理対策は、浄化槽から下水道への接続転換も含め、今まで公共下水道事業を中心に強力に推進してきたことが見て取れる。
 また、事業推進の根拠法は、公共下水道事業が閣法の「下水道法」であるのに対し、浄化槽事業は議員立法の「浄化槽法」、農業集落排水事業は単独法ではなく、浄化槽法に準拠しているのが現実である。
 そこで、以下の点について見解を示されたい。
1 下水道法は昭和三十三年の閣法、一方浄化槽法は昭和五十八年の議員立法であり、この二つの法律の目的には、どちらにも、「公共用水域等の水質の保全」と書かれている。
 法律上同じ目的であるにもかかわらず、下水道事業と浄化槽事業において、助成率や予算額に大きな差があるが、もし、浄化槽を下水道が設置されるまでの仮の設備と認識しているのであれば、認識違いも甚だしい。見解如何。
2 事業の補助率は下水道の二分の一に対し、浄化槽は三分の一、また、農業集落排水施設は浄化槽法に基づく浄化槽でありながら補助率は二分の一である。省庁の違いで補助率が異なるのは、根本的におかしい。助成率が異なるのは如何なる理由なのか。その根拠如何。
3 汚水処理施設整備交付金は下水道、農業集落排水施設、浄化槽のうち、二つ以上の事業を実施することが採択の条件となっており、各制度の助成率に差があれば一括しても適切な選択がなされず、本来浄化槽で整備することが効率的な地域においても下水道が選択され、事業が偏った結果として市町村の膨大な財政負担につながっているものと思われる。
 政府が進めている地方向け補助金の「一括交付金化」を実施する前に、地方が公平に選択できるよう、この補助率は全事業同じにすべきものと考えるが、見解如何。

二 今後の合併処理浄化槽推進への取組について

 本年十一月二十六日の参議院予算委員会における、浄化槽の助成率二分の一への引き上げに関する私の質問に対し、環境大臣は「来年度概算要求では、中山間地域など、汚水処理人口普及率の低い市町村において浄化槽の集中的整備を行う場合に助成率二分の一とすることを要求しております。」と答弁した。しかし、個人設置型についても二分の一補助を実施することが、合併処理浄化槽設置の推進を加速化することにつながると考えるが、見解如何。

三 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換促進について

 全国八百三十五万基の浄化槽のうち、三分の二の五百四十五万基は生活排水が適正に処理できない単独処理浄化槽である。平成十二年の浄化槽法改正で、単独処理浄化槽の新設が禁止され、既設単独処理浄化槽は合併処理浄化槽に転換するよう努力義務が課せられたが、使用者には転換によるメリットもなく、自己負担額も大きいことから、この転換は遅々として進んでいない現状にある。この間にも無処理の台所排水等は河川に排出され、水環境を悪化させている。
 そこで、テレビの地デジ移行と同様に、浄化槽法の改正を図り合併処理浄化槽に転換することを義務づけると同時に、合併処理浄化槽への転換費用を公費負担とする制度を創設すべきと考えるが、見解如何。

四 廃止した単独処理浄化槽の活用について

 全国の五百四十五万基に上る単独処理浄化槽の廃止に際し、産業廃棄物を抑制し、集中豪雨時に雨水が一気に河川へ流入するのを抑制するための一時貯留と地下浸透設備等として利活用するようにしたらどうかと考えるが、見解如何。

  右質問する。