質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五五号

相模総合補給廠における「焼夷弾の爆破処理」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月一日

田村 智子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   相模総合補給廠における「焼夷弾の爆破処理」に関する質問主意書

 本年八月二十七日、在日米軍は、不発焼夷弾(約百発)の爆破処理を相模総合補給廠において強行した。昨年十二月に続いて二回目の爆破処理であった。
 相模総合補給廠は住宅が密集する市街地にあるため、周辺住民に多大な不安を与えることから、相模原市は他の安全な場所で処理するよう要請したが、聞き入れられずに爆破処理が強行された。
 昨年十二月の一回目の爆破処理の際には、事前通告はまさに実施直前で、無通告に等しく、住民への周知徹底がなされないままに爆破処理が行われ、住民は突然の爆発音や振動に驚愕し、家を飛び出すような事態となった。
 一方、今回の二回目の爆破処理にあたっては、米軍から事前協議の申し入れがあり、防衛省南関東防衛局、神奈川県、相模原市との間で四者協議が行われた。そして、この四者協議で日本政府・防衛省南関東防衛局が「米軍の措置は周辺の安全ならびに影響について十分に考慮されていると判断しており、爆破による処理はやむを得ず、適切であると考えているので、市にはご理解いただきたい」と相模原市に要請した、とのことである。
 しかし、日本政府として不発焼夷弾とその保管状況等について確認しておらず、「安全」「適切」という判断の根拠は何ら具体的に示されていないこと、また、昨年十二月に続いて大量の不発焼夷弾の発見という事態に直面し、「いったい不発焼夷弾はどこにどれくらい埋まっているのか」など相模原市民の不安が広がっているなかで、十分な説明や情報提供がないまま、爆破処理に至ったことは、誠に遺憾である。
 そこで、以下質問する。

一 米軍および自衛隊による不発弾処理の全国の状況について

 過去五年間の在日米軍および自衛隊による不発弾処理の件数、不発弾の種別、処理弾数について、在日米軍と自衛隊ごと、年次ごと、都道府県ごとに明らかにされたい。

二 不発焼夷弾発見の事実経過について

1 本年八月二十七日(以下、今回)に相模総合補給廠において爆破処理された約百発の不発弾が最初に発見されてから爆破処理に至る経緯の詳細について、明らかにされたい。また、同様に昨年十二月(以下、前回)に処理された約八十発についても詳細を明らかにされたい。
2 前回および今回処理された不発弾は米軍が戦時中に使用した焼夷弾と報道されているが事実か。また、前回および今回ごとに不発弾の種類、製造年、使用された時期や数等の詳細について、明らかにされたい。
3 発見された不発弾を持ち出して別の場所で処理するのではなく、市街地の中心部にある相模総合補給廠のなかで爆破処理をしなければならない理由について在日米軍は政府に対してどのように説明しているのか、在日米軍の説明にたいする政府の見解とあわせて具体的に明らかにされたい。

三 不発弾が相模総合補給廠の地下に埋設されていたことに関する政府の認識について

1 前回、爆破処理された約八十発と、今回、爆破処理された約百発の不発弾が相模総合補給廠の地下に埋設されていた経過や事情について、明らかにされたい。
2 これらの不発弾は戦後、在日米軍が相模総合補給廠に埋設したものが再発見されたものではないのか。
3 発見された不発弾が在日米軍の埋設したものだとすれば、埋設について何らかの協議や了承を求められたことはあるのか。政府にその事実を知らせず在日米軍が不発弾を埋設したとすれば重大であるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 全容解明にかかわる対応について

1 相模総合補給廠のその他のエリアにも不発焼夷弾やそれに類するものが埋設されている可能性があり、在日米軍に対して相模総合補給廠の全域を調査して不発弾等がどこにどれくらい残っているのか明らかにするよう求めるべきではないか。また、今回や前回の不発弾処理のように「建設工事のなかでたまたま見つかったらその都度処理する」ということではなく、相模総合補給廠全域の調査によって事態の全容を解明したうえで計画的に処理を進めるべきと考えるが、政府は在日米軍にそのように求める考えがあるか。
2 特に返還と共同利用が決まっている地域の調査は急いで行う必要があるが、全域の調査に先行して行うよう在日米軍に求める考えがあるか。また、日本政府として独自の調査を申し入れる考えはあるか。

五 今後再び相模総合補給廠において不発弾が発見された場合の対応について

1 政府は不発弾の発見現場への立ち入りを在日米軍に求め自ら調査を行うべきではないか。
2 発見された不発弾の埋設状況を確認するため、発見時の写真や映像等の提供を在日米軍に求めるべきではないか。
3 処理にあたっては、安全性や周辺への影響等について在日米軍任せでなく立ち入り調査などによって政府自ら検討し、意見を述べていくべきではないか。

  右質問する。