質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八二号

「核兵器の威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所勧告的意見のフォローアップ」国連決議案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月四日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   「核兵器の威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所勧告的意見のフォローアップ」国連決議案に関する質問主意書

 平成二十二年十月二十九日に国連総会第一委員会で、「核兵器の威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所勧告的意見のフォローアップ」国連決議案への投票が行われた。投票結果は、賛成百二十一、反対二十七、棄権二十二で採択された。この決議案の趣旨は、「核兵器禁止条約(NWC)へとつながる交渉を開始すること」を求めていることである。核兵器国のうち、米国、ロシア、英国、フランスは反対し、中国は賛成した。一方、北大西洋条約機構(NATO)の非核兵器国のうち、ドイツ、ベルギー等は反対し、カナダとノルウェーは棄権した。また、スウェーデンは賛成した。こうした中、日本は棄権した。
 この決議案は、従来からマレーシア等によって提案されており、日本は例年棄権してきた。しかし、今年は、五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が最終文書でNWCについて初めて言及し、潘基文国連事務総長が長崎、広島を訪れてNWCの重要性を訴えるなど、新しい機運が生まれており、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)が報告書の勧告七十三においてNWCの準備作業の開始を提言したことを併せて考えると、日本が棄権をくり返したことは残念な結果と言わざるを得ない。また、この決議案の文面は、NPT再検討会議の最終文書の内容の多くを踏襲しているものであり、さらに、これは条約の即時交渉ではなく「NWCへとつながる交渉の開始」を求めているものである。したがって、この内容に日本が賛成することに大きな障害があるとは考えられない。
 同じく棄権したノルウェーの場合は、例年反対していたが今年は棄権に転じた。同国は投票に際して、「同決議の全体的な目標は支持するし、今年は案文の修正が行われたことも認識している。しかし、ノルウェーとしては、ジュネーブ軍縮会議が法的拘束力のある核軍縮を議論するための最適の場であるとは考えておらず、また、モデル核兵器禁止条約に言及していることが現時点において正しいやり方であるとは考えない」という趣旨の理由を説明している。ノルウェーのような具体的な説明を日本政府もしっかりと行うべきだと考える。
 そこで、以下質問する。

一 日本政府は、国連総会第一委員会での「核兵器の威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所勧告的意見のフォローアップ」国連決議案について、何故、今年も棄権したのか。その理由を具体的に明らかにされたい。

二 今後、どのような条件が整備されれば、NWCへとつながる交渉または準備作業を開始していけるのか、政府の見解如何。

三 NWCへとつながる交渉または準備作業の開始に向けて、日本としてはどのような努力を進めていく必要があるのか、政府の見解如何。

  右質問する。