質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八一号

自動車保険における保険金支払等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月四日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   自動車保険における保険金支払等に関する質問主意書

 自動車保険(任意保険)における対物賠償保険は、自動車の所有、使用又は管理に起因して他人の財物を滅失、破損又は汚損することにより、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害について、保険金を支払うものである。保険金の支払は、示談等により損害賠償額が最終的に確定した後、加害者(被保険者)又は被害者(損害賠償請求権者)からの請求により行われることとなっている。
 自動車事故における法律上の損害賠償責任は、当事者間での合意等により決定した加害者・被害者双方の過失割合をもとに確定する。当事者間で過失割合についての交渉が難航し、示談に至っていない場合には、原則として任意保険からの保険金の支払を受けることができない。そのため、事故で損傷した車両を保有する被害者は、生活又は事業のために自動車が必要な場合、保険金が支払われる前であっても、自己負担により修理等を余儀なくされることになる。
 現状では、示談に至っていない自動車事故被害者は、事故による肉体的・精神的なダメージに加え、車両修理費用等による経済的なダメージを受けることになる。
 一方、人身事故を対象とする強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)では、被害者からの直接請求ができるほか、当座の費用としての仮渡金の請求も認められている。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、任意保険における車両保険の保険金支払件数及び金額、自動車事故にかかる示談に要した平均期間、示談に至っていない自動車事故被害者が車両修理費用を自己負担している件数のそれぞれについて、どのように把握しているか。把握しているのであれば、最近一年間の実績を示されたい。

二 車両修理費用等による自動車事故被害者の経済的負担を軽減する観点から、当事者間で争いのない範囲についての内払等を可能とするなど、任意保険においても自賠責保険における被害者の直接請求や仮渡金制度に準じた取扱いが構築されることが望ましいと考える。任意保険の取扱いは保険会社の自主的な取組によるところであるが、保険会社を監督する立場にある政府の認識如何。

三 保険会社の中には、現在でも、損害賠償額が最終的に確定する前に、当事者間で争いのない過失割合の部分をもとにした保険金の内払に応じている例もある。しかし、保険約款等に定められた取扱いではなく、内払を受けるために必要な要件等は明確ではない。政府としては、このような内払の実態をどのように把握しているのか。また、保険契約者等の保護及び利便性の向上の観点から、このような保険金の内払を行うのであれば、保険会社はできるだけ適用要件を分かりやすく示すことが必要であると考えるが、政府の見解如何。

四 自動車事故被害者の立場に立った根本的な解決のためには、損害賠償額が最終的に確定する前であっても、当事者間で争いがない過失割合の部分をもとにした保険金の内払を可能とするよう、保険会社が自ら保険約款の改正等を行うことが最も望ましいと考える。政府においても、被害者を保護する視点から、保険会社に対して保険約款の改正等を働きかけるべきではないかと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。