質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六五号

猛暑を地域資源として活かすビジネスモデル構築に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月二十七日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   猛暑を地域資源として活かすビジネスモデル構築に関する質問主意書

 地球温暖化による異常気象は全世界で猛威をふるい、我が国においては今年、猛暑といわれる異常高温が全国各地で長期間にわたって発生した。異常高温やゲリラ豪雨といった異常気象が年々増加していることは確実である。
 そして、各地で猛暑日の記録更新が相次ぎ、日本の最高気温の記録に頻繁に名前がでてくる館林市のある群馬県では、県下の高崎市、太田市、安中市、沼田市などの一二市を始め、その他町村においても厳しい暑さの連続であった。
 館林市は、四〇日を超える猛暑日になったと言われ、日本列島の猛暑による熱中症の大量発生は、各種統計を確認すると、大災害とも言うべきものである。
 これら猛暑都市を安全・安心な都市にする上で、対処療法的な対応では市民の健康、生命を守ることは困難な状況にある。従って、(1)熱中症への対応はもとより、(2)ヒートアイランド現象への機敏、かつ的確な対応、また、より根本的には(3)気候変動への対応が重要である。これらの三者の一体的、計画的なパッケージ政策が必要である。
 以上の基本的視点を、改めて重視・認識すべきことと同時に、関係府省庁及び関係府省庁連絡検討会が一層強力な暑熱対策を推進することを強く求めるものである。
 以上を踏まえて、質問主意書の本旨に入る。
 人為的なヒートアイランド化と異常高温に対しては、大胆な適応政策の実行が必要であり、太陽熱や「都市熱」を資源と考え、熱を活かす「活熱」・「利熱」へと発想を転換することが不可欠である。

一 「猛暑」を資源として発想する新しいビジネスモデルの構築について

 氷菓、冷却シートなどの熱中症グッズ、冷却グッズなどが猛暑特需になっている。また、米粉の冷麺開発にも関心が集まっている。今夏の猛暑の経験・知恵を「携帯熱中症計」などの開発に向けて生かすべきである。
 事業所からの排熱・廃熱を資源として捉え、埼玉県熊谷市、群馬県館林市、岐阜県多治見市などの都市の「猛暑」を逆手にとるなど、産官学が連携した新しいビジネスモデルの構築と研究・開発への支援を強化すべきであると考える。
 例えば、体温で動く「熱発電の時計」のように熱電素子による発電の実証実験や研究開発、猛暑に対応する住宅の研究開発、猛暑と観光などを結びつけたコラボレーション提案の公募などを検討すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。また、猛暑を太陽熱発電などに応用展開できるようにすべきであると考えるが、併せて政府の見解を示されたい。

二 いわゆる「猛暑通り」と言われている館林・熊谷・東京などにおける熱環境情報や対策等の共有化と都市間連携について

 いわゆる「猛暑通り」は、東京からの熱風によるものと巷間言われているところであるが、熱波の長距離輸送に関するメカニズムについて明確にすべきである。同時に、ヒートアイランドなどからもたらされる長距離熱汚染などの対策は、一地方自治体の対策では限界があり、政府の取組はもとより各地方自治体の行政域を超えた連携が求められている。そこで、政府と関係地方自治体との協議機関の設置、全国猛暑都市、最高気温を更新する都市間での猛暑対策の共有化に向けたホームページ「活熱ドットコム」の創設及び「猛暑都市サミット(仮)」の開催等を通じて関係都市間の連携の強化が図られるよう政府は先導的に対応すべきである。これらについて政府の見解を示されたい。

  右質問する。