質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五九号

生活衛生関係営業関係補助金の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月二十五日

横山 信一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   生活衛生関係営業関係補助金の見直しに関する質問主意書

 飲食店業、理美容業、クリーニング業、旅館業等の生活衛生関係営業(以下「生衛業」という。)は、食品衛生法や営業各法における衛生規制の下で衛生管理を図りつつ、国民生活に密着したサービスを提供している。その一方で、生衛業営業者の多くが家族経営で、経営基盤が脆弱な小規模零細企業であることから、その経営の健全化を図ることは、公衆衛生の見地から重要な課題である。このため、昭和四十年度から各都道府県の区域内の指導体制の整備及び生衛業の振興を図るための「生活衛生営業指導費補助金」が、翌四十一年度から全国的な指導体制の整備及び生衛業の振興を図るための「生活衛生振興助成費等補助金」が開始され、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(以下「生衛法」という。)に基づく法律補助事業として今日に至っている。その目的は、衛生施設の改善向上、経営の健全化、利用者及び消費者の利益擁護など多方面にわたっており、企画力や技術力向上のための営業指導や研修、相談支援は生衛業の振興とその衛生水準の維持向上のために欠かせない現状にある。
 ところが、本年五月二十四日の行政刷新会議ワーキンググループ(以下「ワーキンググループ」という。)の事業仕分けでは、生活衛生振興助成費等補助金について「廃止(説明責任を果たしつつ、政策目標を達成する上でより効果的な仕組みにより行うべき)」との評価がなされ、また六月十日の厚生労働省内の行政事業レビューにおいては、生活衛生営業指導費補助金について「事業の廃止(直ちに)」との評価がなされた。これらに対し、業界からは強い反発があり、全国環境衛生・廃棄物関係課長会から補助金の継続要望が提出されたところである。
 そこで、こうした一連の経緯を踏まえ、両補助金の見直しについて以下質問する。

一 現下の生衛業を取り巻く厳しい環境や地方財政状況の下で補助金を廃止すれば、都道府県生活衛生営業指導センターにおける相談・指導や生活衛生同業組合(以下「組合」という。)等の自主的取組の実施に支障を来たし、衛生水準を確保したサービスの提供が困難になる懸念があるが、政府は補助金を廃止した場合の影響をどのように考えているか。

二 本年五月のワーキンググループのとりまとめコメントにおいては、「衛生面について、国が何かしらのサポートを行うべきであること、この事業の目的自体に関しては大きな疑問は持っていない」、「施策の目的には非常に賛同する」とされている。事業の目的及び必要性については、ワーキンググループの評価者の理解を得られたと考えるが、政府としての見解を問う。また、ワーキンググループの評価結果の但し書きでは、「説明責任を果たしつつ、政策目標を達成する上でより効果的な仕組みにより行うべき」とあるが、政府は今後これをどのように反映していく考えか。

三 ワーキンググループの評価者のコメントでは、「天下り団体及び業界団体を通じた補助金の配布という手法が、その目的に適うものとは考えられない」とされているが、そもそも、補助の対象となってきた全国生活衛生営業指導センターは生衛法に基づいて設立されており、組合等に対する助成も生衛法で規定されている。事業仕分けの判断は、生衛法の趣旨に反するのではないか。

四 ワーキンググループのとりまとめコメントでは、助成の効果が不明確であるとして、「十分な効果測定」を求めているが、小規模零細事業者が多い生衛業について助成の効果を測定するのは困難が予想される。効果測定のために生衛業営業者、組合等に過度な負担を課すべきではないと考えるが、政府はどのような指標、データにより今後、効果測定を行う考えか、具体的に示されたい。

五 厚生労働省の行政事業レビューでは、外部有識者のコメントにおいて「天下り」問題が指摘された。実際、都道府県生活衛生営業指導センターの経営指導員の多くは、都道府県の生活衛生関係OBであり、融資に係る相談が半数近くを占める実態と乖離が生じている。この際、金融関係に精通した経営指導員を確保し、重点的に配置する等、経営指導・支援体制の強化を図るべきではないか。

六 厚生労働省の行政事業レビューの対象となった生活衛生営業指導費補助金は、都道府県生活衛生営業指導センターが行う事業の総事業費、国の定める基準額及び都道府県の補助額を比較して最も低い額を基準に算定されるため、相談・指導に熱心に取り組んでいる都道府県ほど超過負担が重くなる状況にある。各都道府県の事業の実態に合わせて補助の配分を決めるべきであり、意欲を持ってこれまで取り組んできた都道府県に手厚い助成がなされるよう、補助金の算定方式を見直すべきではないか。

七 平成二十三年度厚生労働省予算概算要求では、これまでの補助金を廃止し、新たに「生活衛生関係営業対策事業費補助金」を設けることとしているが、従来の生衛業関係補助金とその目的、助成先、助成内容等のどこがどう異なるのか、具体的に示されたい。また、新たな補助金では、評価指標の導入を図り、事業の効果検証を実施するとしているが、具体的にどのように行うのか。

  右質問する。