質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五五号

日本郵政グループの運営に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月二十一日

中西 健治   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   日本郵政グループの運営に関する質問主意書

 政府は去る十月十三日に、「郵政改革法案」、「日本郵政株式会社法案」、「郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を衆議院に提出したが、「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律」が施行された平成二十一年十二月以降、憂慮すべき様々な事態が発生しており、民営化逆行の様々な弊害が出ていることを強く懸念しているところであることから、以下のとおり質問する。

一 日本郵政株式会社は、本年五月七日に「いわゆる「ファミリー企業」と報じられている法人への対応について」という広報発表(以下「広報発表」という。)を行った。広報発表では、平成十九年十一月六日「郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会」の第三次報告(最終報告)(以下「最終報告」という。)で検討対象とされた二百十九法人が、合併、解散等により百五十六法人(清算中の法人を含む。)となっているとした上で、その百五十六法人についての対応を発表している。

1 広報発表では、百五十六法人のうち、OBがいない法人六十四法人、取引がない法人(公益法人を含む。)九法人、その他公益法人二十二法人、清算中の法人三法人、直接出資している法人一法人の計九十九法人については、「そもそもファミリー企業とは言えるものではない」とし、「措置をしない法人」として位置付けているが、以下につき政府が把握しているところを明らかにされたい。
① OBがいない法人六十四法人については、最終報告の後、OBが退任したという理解でよいか。
② 当該六十四法人については、今後ともOBが雇用されることはないのか。当該法人が経営の自主性を理由に再度OBを雇用した場合、日本郵政グループはどのような対応をとるのか。
③ 「その他公益法人」については、最終報告では十八法人であったが、広報発表では二十二法人となっている。具体的に二十二法人の法人名を挙げられたい。また、「取引がない法人(公益法人を含む。)」の九法人とは別に分類されていることから推察すると、当該二十二法人と日本郵政グループとの間では取引が発生していると思料するが、それでよいか。
④ 最終報告では、公益法人との取引については交渉方法などの是正、一般取引化を行うとして、取引関係の見直しを行うべきとされていたが、なぜ広報発表では「その他公益法人」が「措置をしない法人」に分類されているのか。
2 最終報告では子会社化しないとしていた法人について、広報発表では五法人を子会社化するとしているが、以下につき政府が把握しているところを明らかにされたい。
① 方針変更の理由。
② 日本郵政グループとの取引額、役職員数、役職員のうち官僚OB又は日本郵政OBの人数並びに同役職員の官庁又は日本郵政における最終ポスト及び年収につき、柿澤未途衆議院議員提出の質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一七四第八号平成二十二年二月十二日)から変更のあったもの、もしくは同答弁書において無回答であった事項。
3 最終報告で、「日本通運株式会社との合弁として発足させる宅配事業会社の在り方とともに検討」とされていた七十一社について、広報発表では具体的にどのような分類となり、現在どのような状態になっているのかを明らかにされたい。

二 日本郵政グループの非正規社員を正社員化することについて、以下につき政府が把握しているところを明らかにされたい。

1 非正規社員に対して提示した社員募集の際の労働条件(勤務時間、給与、休日・休暇、各種保険制度、年金等)。
2 選考基準、選考方法、最終合格想定人数および選考スケジュール。
3 実際の応募人数および各選考段階での合格者数。
4 正社員化による平成二十二年度人件費増加想定額および日本郵政グループ各社の平成二十二年度予算措置。
5 4の想定額が算出できない場合、各社が発表している今年度末各社決算見通しにおける当該人件費増加分の処理額。
6 本施策(正社員化)は、郵政民営化法第二条の「基本理念」のどの個所に該当することを目指して実施されるものなのか。

三 政府が提出した「郵政改革法案」について、以下の点を明らかにされたい。

1 日本郵政株式会社が郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の業務並びに権利及び義務を合併により継承する理由、目的。
2 1の理由、目的が現在の形態のままで達成できない理由。
3 2の理由のうち、法律上の定めによる制約から現状では実施できない事項。

  右質問する。