質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四五号

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加検討に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月十八日

山田 俊男   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加検討に関する質問主意書

 環太平洋戦略的経済連携協定(以下「TPP」という。)への参加検討に関して、以下のとおり質問する。

一 菅総理大臣は、今臨時国会冒頭の衆参両院本会議における所信表明演説(平成二十二年十月一日)において、「環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します」としているが、その背景と参加の必要性を判断した基準は何か。また、参加の検討については、具体的にはどの機関において、どのような方法により行うのか。

二 TPPは、関税の全面的な撤廃を条件としているというのは事実か。それが事実ならば、その根拠は何か。また、日本政府は、その条件をどのように受け止めているのか。事実関係を明らかにされたい。

三 米国や豪州がTPPへの参加を表明し交渉に加わっているというが、米国と豪州は両国間の自由貿易協定(以下「FTA」という。)において、砂糖を除外し、乳製品についても関税撤廃の例外措置を設けている。両国がTPPに参加した場合、このような両国間におけるFTAの除外・例外措置は廃止され、全ての品目について関税が撤廃されることになるのか。政府としての見解を示されたい。

四 わが国は、すでに十一カ国、一経済圏(ASEAN)との間で一部品目について関税措置を残したままでFTAや経済連携協定(以下「EPA」という。)を締結している。わが国がTPPに参加する場合は、それらの国々との関税措置も撤廃することになるのか。

五 わが国はEPA・FTA交渉において、韓国とは交渉中断後の再開にこぎ着けたところであり、EUとは今後の交渉入りを目指していると聞いている。わが国がTPPに参加した場合には、これらの国々とのEPA・FTA交渉は成立しなくなるのではないのか。

六 TPPへの参加を検討しながら、多国間の貿易交渉であるWTOドーハラウンドに対してはどう取り組むのか。考え方は整理されているのか。

七 わが国がTPPに参加した場合における、わが国の農林水産業への影響について試算がなされているのか。試算がなされていればその内容を、検討段階であればその項目や考え方を示されたい。

八 参院本会議における郡司彰議員のTPPに関する質問(平成二十二年十月七日)に対して、大畠経済産業大臣は「食の安全・安定供給など日本の農林水産業との両立は重要な課題と考えており、農林水産大臣とよく連携して検討してまいりたい」、鹿野農林水産大臣は「農林水産業への影響や交渉の状況等を踏まえ、国益に照らして検討することが必要」、「我が国の農業を再生、振興し、食料自給率を向上させていくという課題と両立させなければならない」と答弁している。これらの課題を両立させるために、どのような政策により、どれだけの規模の予算を用いて対策を講じる考えなのか。政策の内容や予算措置について具体的に示されたい。

九 わが国は、生物多様性条約第十回締約国会議の議長国を務めることとなるが、生物多様性を確保することは、各国の多様な農林漁業の共存をはかることと共通する理念と考える。
 しかるに、全ての農産物の関税撤廃をはかるTPPへの参加は、生物多様性の確保に矛盾するのではないのか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。