質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二七号

無料低額診療事業等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月十四日

田村 智子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   無料低額診療事業等に関する質問主意書

 社会福祉法第二条第三項第九号及び第十号の事業(以下「無料低額診療事業等」という。)は、無保険者など低所得者の医療等をうける権利を保障するために重要な意味を持つ。円滑な無料低額診療事業等の実施のため、以下のとおり質問する。

一 無料低額診療事業等の事業開始後、当該事業者に義務づけられている社会福祉法第六十九条第一項の届出(以下「無料低額診療事業等の届出」という。)に、行政手続法第三十七条の適用はあるのか。

二 無料低額診療事業等の届出に関して、行政手続法第三十七条が規定する「届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件」とは何か。具体的に明らかにされたい。

三 社会福祉法人以外が行う無料低額診療事業等に関して、事業経営地の都道府県において無料低額診療事業等の届出に関する条例及び都道府県知事が定める規則等(以下「届出に関する条例等」という。)が定められていない場合、社会福祉法第六十九条に定める同法第六十七条第一項各号に掲げる事項を届ける届出は、行政手続法第三十七条にいう「法令に定められた届出の形式上の要件に適合」する届出と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、届出に関する条例等が定められている場合も、社会福祉法第六十九条に定める同法第六十七条第一項各号に掲げる事項に加えて届出に関する条例等に定める要件を満たす届出は、行政手続法第三十七条にいう「法令に定められた届出の形式上の要件に適合」する届出と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 社会福祉法人以外の事業者が無料低額診療事業等を開始し、事業開始の日から一ヶ月以内に、「法令に定められた届出の形式上の要件に適合」する届出が、都道府県知事の権限に属する事務を取り扱う事務所に到達した時点で、社会福祉法第六十九条第一項によって当該事業者に課せられた届出に関する手続き上の義務は履行されたことになると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 社会福祉法第二条第三項第九号の事業(以下「無料低額診療事業」という。)について、政府は平成二十年十月七日に「今後の無料低額診療事業の在り方については、平成二十年七月の「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書」における指摘や社会経済情勢の変化等を踏まえ、慎重に検討してまいりたい。」(内閣参質一七〇第一九号)と答弁書で答えているが、その後の検討状況を明らかにされたい。また、今後の結論を出す時期を含めて検討のスケジュール及び方向性を明らかにされたい。

六 政府の方針もあり医療の現場では医薬分業が進んでいる。現在のところ調剤を実施する薬局(以下「調剤薬局」という。)は無料低額診療事業を行う医療機関のように無料または低額な調剤を行う事業を行えないため、無料低額診療事業を行う医療機関で無料または低額な料金で診療をうけ処方箋の交付を受けても、その処方箋にもとづいて無料または低額な料金で調剤を受けることができないという矛盾が生じている。調剤薬局においても無料低額診療事業と同様に、無料または低額な料金で調剤を行う事業を社会福祉事業と位置づけるよう社会福祉法の改正を検討すべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。