質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

無人遠隔管理設備等の法人事業税に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月十三日

寺田 典城   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   無人遠隔管理設備等の法人事業税に関する質問主意書

 技術の進展に伴い、無人遠隔管理設備等が増加しているが、地方税法上、当該設備は設置場所においては事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)と認められないため(「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(以下「取扱通知」という。)第一章第一節六)、法人事業税は当該設備のある都道府県には一切納付されず、無人運用の人的資源を有する事務所等のある都道府県に全額納付されるという現象が発生している。
 例えば、無人遠隔管理の風力発電設備や、金融機関の無人ATMがこれに該当する。
 風力発電事業については、カーボンフリーのエネルギー事業として、低炭素社会を目指す我が国にとっては極めて重要な事業である。今後、風力発電設備のさらなる拡充が見込まれる中、当該設備の設置に関して負担する都道府県に、全く法人事業税が納付されない点につき疑問が生じたので、以下のとおり質問する。

一 取扱通知において、事務所等は、「事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所をいう」と定義されている。
 しかし、無人遠隔管理をしている風力発電設備は、従業者が事務所等(この場合は風力発電設備の場所)にいないことを理由に、人的及び物的設備のうち人的設備が無いため、事務所等に該当せず、その場所で大規模な事業を展開しているにもかかわらず、当該都道府県には法人事業税が納付されない。
 技術の進展により、無人遠隔管理をする設備は今後さらに増加すると考えられるが、無人であるとの一点で、法人事業税が当該設備のある都道府県に全く納付されない現状の取扱通知には不備があると考えられる(取扱通知第三章第二節第九の七(一)に規定する「事務所等に該当するか否かの判定」)。
 今後この取扱通知を見直す用意があるのか、また、見直す用意があれば見直しの時期について明らかにされたい。

二 風力発電設備は、他の無人設備(例えばATM)と同列に扱うべきではないと考えるが、発電設備等、国家に貢献する設備に関しては、無人であっても設置する都道府県に、その設置負担に見合った法人事業税を納付される特例を定めることは可能か。また、そのような検討がなされているのかどうか、明らかにされたい。

三 今後、国益に資する、無人遠隔管理設備を用いた類似の事業が新たに興される場合も想定した上で、当該設備等の取扱いの見直しについて早急に対応を行うべきと考えるが、政府の方針を示されたい。

  右質問する。