質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

金型業界の統合による地域経済への影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月八日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   金型業界の統合による地域経済への影響に関する質問主意書

 自動車用金型業界の事業統合を推進するため、企業再生支援機構の主導により、同業界の国内二位企業(静岡県清水町)によって群馬県下の国内三位企業(同県大泉町)の事業が買収されることが明らかになった。このため三位企業の太田工場(同県太田市)は閉鎖され、約四五〇人の従業員のうち約一四〇人が明年にも解雇されるとみられている。群馬県では昨年、別の自動車用金型業界の一位企業(同県太田市)がタイの自動車部品大手企業の傘下に組み込まれたばかりである。一位企業はその一工場(同県太田市)を中国企業に売却し、すでに三〇〇人以上の従業員がリストラされたと言われる。金型業界はリーマンショックによる金融危機後の受注急減を契機として業績が戻らず、最近では急激な円高の進行により急速に採算が悪化しており、我が国のものづくりの基盤中の基盤と言われる金型技術の継承自体が危ぶまれる状況が続いている。群馬県では、金型トップ企業の縮小・再編が地域経済に深刻な打撃を与えている。相次ぐ業界再編や工場撤退に伴う地域経済への影響と今後の対策について、以下質問する。

一 官民出資の企業再生支援機構による自動車用金型業界の統合の経緯と目的について

 自動車用金型業界の国内二位企業による同三位企業の事業買収は、官民出資で設立された企業再生支援機構の主導により実現した。公的資金を投入してまで、政治主導で業界統合に踏み切るに至った経緯と目的、企業再生支援機構による出資規模と支援の内容を説明されたい。

二 群馬県下における工場閉鎖等による地域経済への悪影響について

 群馬県下では、金型企業の相次ぐ撤退や売却によって、地域経済は深刻な打撃を受けている。官民出資の企業再生支援機構が、税金を使って工場閉鎖やリストラなどの支援を行うことに納得がいかない群馬県民の心情も理解できる。政府として、前記の工場閉鎖や企業売却等による地域経済への悪影響をどのように認識しているか、明らかにされたい。

三 企業再生支援機構における地域経済の再建及び雇用創出に関する対策について

 株式会社企業再生支援機構法第一条では、「雇用の安定等に配慮しつつ、地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図」ることが、機構の目的として規定されている。企業再生支援機構は公共団体や商工会、ハローワーク等と連携し、地域経済の再建及び雇用創出に関しての具体的な対策について、関係機関との協議の場を設けるべきと考えるが、同機構の方針について、政府が把握しているところを明らかにされたい。

四 金型業界における業界の再編と今後の展望について

 企業再生支援機構は、全国に一万社あるとも言われる金型業界の中で、二位、三位企業の連合、すなわちトップ企業の最大株主という立場から、今後も金型業界の再編や統合に乗り出すことがあり得るのかどうか、政府の見解を問う。また、日本の金型産業の将来ビジョンについて、政府の展望と支援方針も併せて説明されたい。

  右質問する。