質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

民主党政権による産業革新機構の不十分な活用状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月四日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   民主党政権による産業革新機構の不十分な活用状況に関する質問主意書

 我が国のオープン・イノベーションへの投資を促進するため、自公政権時の平成二十一年七月に株式会社産業革新機構(以下「機構」という。)が創設された。機構は、産業や組織の枠を超えて、技術等の経営資源を組み合わせ、新たな付加価値を創出する事業活動等に対して投資を行う、十五年間の時限的な組織であるとされる。
 機構に対しては、政府から八百二十億円、民間企業等から百億円が出資され、さらに機構が金融機関から資金調達する際には最大で八千億円の政府保証が付けられるため、総額で約九千億円近い資金が確保されている。しかし、民主党政権への政権交代後、その機能の十分な活用はされておらず、機構は、平成二十二年三月に第一号案件(アルプス電気株式会社が電気自動車に組み込む電子部品を製造するため事業分割により設立する新会社に対する上限百億円の出資)を決定したが、実際の出資は平成二十二年五月に実施されたため、初年度の投資実績及び営業収益はなかった。今年度に入り、投資決定案件の数は増えているものの、平成二十二年九月末時点では六件(うちベンチャー企業に対する投資は三件)、計約九十億円、つまり機構の資金のたった一%の出資にとどまっている。
 産業界におけるイノベーションを喚起するためには、多少のリスクを冒してでも今後成長が見込まれる分野への投資を積極的に行うことが求められる。機構が投資を決定するに当たっては、機構の資金に多額の税金が投入されていることから、その採算性を重視することが求められる一方、円高・デフレ経済からの早期脱却も求められている中で、このような不十分な活用状況では、機構の存立意義が問われることになる。
 そこで以下のとおり質問する。

一 厳しい財政状況の中、約九千億円の手厚い予算措置がなされているにもかかわらず、これまでの投資決定案件が六件、計約九十億円の出資にとどまっている現状について、政府の見解如何。

二 民間のファンドが萎縮している中で、機構はその公的性格から、より積極的な役割が期待されているが、官民のファンドの役割分担をどのように認識しているのか、政府の見解如何。

三 政府は、機構についてどのような将来ビジョンを描いているのか。現時点で想定される今後の投資決定件数を含めた、明確なビジョンを示されたい。

  右質問する。