質問主意書

第175回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一七五第二一号
  平成二十二年八月二十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員紙智子君提出口蹄疫問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出口蹄疫問題に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 政府としては、今回の口蹄疫による被害を受けた、牛、豚等の家畜の生産者(以下「生産者」という。)の経営の再建は、地域経済の再建等にとって重要であると認識しており、現地の意見、要望等にきめ細やかに対応し、今回の口蹄疫による被害を受けた生産者の経営の再開や地域の農業の振興のため、最大限の支援を行っていく考えである。また、今回の口蹄疫による被害を受けた生産者の心のケアは、口蹄疫の発生当初から重要な課題であると認識しており、平成二十二年五月以降、宮崎県に対して独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の専門家を紹介し、同専門家による、生産者に対する心のケアの実施に対する技術的な援助を行っている。

一の3から5までについて

 政府としては、今回、口蹄疫が発生した農場を使用していた生産者及び患畜等以外の家畜の殺処分を行った農場を使用していた生産者が安心して経営を再開できるよう、実情に応じたきめ細やかな支援を行っていくことが重要であると考えている。このため、口蹄疫対策特別措置法(平成二十二年法律第四十四号)第二十二条の規定に基づき、資金の無利子貸付けに限定せず、これらの生産者に対し、家畜の販売収入が得られない期間においても経営を継続できるよう、労働費用等の固定経費について補てんするなどの支援を行うこととしている。また、家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)に基づく手当金又は口蹄疫対策特別措置法に基づく補てん金の概算払を行ったところである。

一の6について

 患畜等以外の家畜の殺処分を行った農場を使用していた生産者等に対する経営の再開のための支援金は、所有者からの委託を受けて家畜を飼養する事業については、その事業を営んでいた者に交付することとしている。

二の1から4までについて

 口蹄疫対策特別措置法第二十三条に基づく基金については、その創設を図ることとしているが、設置主体、拠出主体、支援対象等に関しては、効果的・効率的な事業の運営という観点を踏まえ、宮崎県等からの具体的な要望を聴いた上で検討することとしている。

二の5について

 今回の口蹄疫の発生に伴う家畜人工授精師、牛削蹄師等の収入の減少に対しては、株式会社日本政策金融公庫からの低利の資金調達を措置している。

三の1について

 政府としては、生産者に対し、その飼養する家畜について、毎日健康観察を行うとともに、異常を確認した場合には直ちに都道府県の家畜保健衛生所に通報をするよう、都道府県を通じて指導徹底している。また、都道府県に対し、当該通報を受けた場合には、原則二時間以内に立入検査を行うとともに、異常が確認された家畜の写真等を直ちに農林水産省に送付するよう指導徹底している。

三の2について

 政府としては、我が国への口蹄疫の侵入を防止するため、口蹄疫の発生地域からの畜産物、稲わら等の輸入を禁止するとともに、口蹄疫の発生地域からの入国者の靴底の消毒等の措置を徹底している。また、アジアにおける口蹄疫対策に関する国際協力については、本年五月に公表した「日中韓三国間協力ビジョン二〇二〇」において、口蹄疫を含む家畜伝染病に効果的に対処し根絶するための協力を強化している。