質問主意書

第175回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一七五第一一号
  平成二十二年八月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出日インド原子力協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出日インド原子力協定に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの米国及びフランス両国からの要請の有無も含め、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは差し控えたい。
 また、直嶋経済産業大臣は、平成二十二年四月二十三日に訪問したフランス・アレバ社のロベルジョン最高経営責任者と面会をしているが、面会の際の具体的なやり取りについては、同社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

二について

 平成二十年九月六日に原子力供給国グループ第二回臨時総会において採択された「インドとの民生用原子力協力に関する声明」(以下「NSG声明」という。)第二項に示されているインドの約束及び行動についての現状は、次のとおりである。
(一) NSG声明第二項aについて
 インドは、民生用原子力施設に保障措置を適用するためのインドと国際原子力機関との間の保障措置協定(以下「インド・IAEA保障措置協定」という。)に従い、国際原子力機関に対し、平成二十一年十月に、十四の施設を保障措置下に置くことを決定したことを通知し、また、平成二十二年三月に、新たに二つの施設を保障措置下に置くことを決定したことを通知したと承知している。
(二) NSG声明第二項bについて
 インド・IAEA保障措置協定は、平成二十一年五月十一日に発効したと承知している。
(三) NSG声明第二項cについて
 インド・IAEA保障措置協定の追加議定書については、平成二十一年五月十五日に署名されたと承知している。
(四) NSG声明第二項d、e及びfについて
 平成二十年九月五日に発表されたムカジー・インド外務大臣(当時)の声明(以下「ムカジー外相の声明」という。)において、インドは濃縮・再処理の設備又は技術を有していない国への当該設備又は技術の拡散を制限するための国際的な努力を支持することを表明しており、これまでインドが濃縮・再処理の設備又は技術を有していない国に対して当該設備又は技術を移転したことがあるとは承知していない。また、インドは、原子力供給国グループのガイドラインに従った統一輸出管理品目リストを整備する等、多数国間で規制されている核物質、設備、技術等の移転を効果的に管理することを可能とする輸出管理制度を整備していると承知している。
(五) NSG声明第二項gについて
 インドは、ムカジー外相の声明において、自主的かつ一方的な核実験モラトリアムの継続を改めて明確に打ち出すとともに、核兵器を含む軍備競争への不賛成等を表明している。また、平成二十一年十二月二十九日に発表された鳩山内閣総理大臣(当時)とシン・インド首相による共同声明において、シン・インド首相は、一方的かつ自主的な核実験モラトリアムに対するインドの約束を改めて表明するとともに、両首脳は、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の軍縮会議における即時交渉開始及び早期妥結を支持している。

三について

 お尋ねの点を含め、交渉の内容にかかわる事柄について明らかにすることは、今後の交渉に支障を来すおそれがあることから差し控えたいが、いずれにせよ、交渉を進めるに際しても、核軍縮・不拡散の視点に十分に配慮していく考えであり、インドを国際的な核軍縮・不拡散体制に一層取り込むべく、引き続き国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化のために責任ある行動をとるよう強く求めていく考えである。
 また、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)を中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化を目指し、同条約の普遍性を重視する我が国の立場には何ら変わりはない。

四について

 お尋ねの点については、様々な御意見があることは承知しており、今後とも国内外の理解を得るように努めてまいりたい。