質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二八号

竹島問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年八月六日

亀井 亜紀子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   竹島問題に関する質問主意書

一 政府が二〇一〇年版防衛白書の公表を延期したのは、日韓併合百年を前に、竹島問題を巡って韓国との摩擦を避けようとしたためだと一部メディアで報道されている。しかし、竹島が歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土であるという点は、外務省の「外交青書」でも明記されている。国の本質である領土問題において、係争国に配慮したと報道されること自体、国益を損ねていると考えるが、政府の見解は如何か。

二 二〇一〇年版防衛白書について、韓国の哨戒艦沈没事件などの記述を含め、再発行する作業に係る追加的経費の見積もりはいくらか。

三 日韓併合から本年までの百年のうち、現在に至るまでの五十八年間は韓国による日本領土の不法占拠が続いている。その間、日韓両国政府は口述書の交換などを通じ、互いに竹島の領有権を主張してきた。その中で一九五四年九月、日本政府は竹島問題を国際司法裁判所に提訴すべく韓国政府に提案したが、韓国政府は一九〇五年の竹島の島根県編入を日本による朝鮮半島侵略の最初の犠牲の地として拒否し、竹島を武力占拠した。以後、韓国側では一九一〇年の韓国併合を侵略とする歴史認識が台頭し、竹島の不法占拠を正当化するための外交カードとして、歴史認識問題を使うようになった。このような状況下で日本政府が一方的に日韓併合についての首相談話を発表し、謝罪外交を重ねることは、防衛白書の公表延期に加えて、自ら竹島問題を封印することとなり、さらに国益を大きく損ねる行為だと考えるが、政府の見解は如何か。

四 二国間の外交交渉において、複数の事案がパッケージで提示されることは外交の常である。金賢姫元北朝鮮工作員の来日、二〇一〇年版防衛白書の公表延期、日韓併合についての首相談話発表の検討が同時期に起きていることに疑念を持つが、関連性はあるか。

五 領土問題の解決が困難であることは外国の事例でも明らかであり、竹島問題については粘り強く個別に取り組むべきと考えるが、日本としても、竹島問題を専門的に研究する韓国の東北アジア歴史財団や独島研究所のような研究機関の設置が必要と思われる。政府の見解は如何か。

六 国際司法裁判所がコソボ独立宣言を合法とする判断を示したことに対し、セルビアは強く反発している。国際司法裁判所の勧告的意見に法的拘束力はないため、両国間の紛争解決にはつながらないことが想定され、竹島問題についても韓国との二国間交渉に向けて、我が国が努力すべきと考えるが、政府の見解は如何か。

  右質問する。