質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

民主党政権による海賊対策のなし崩し延長に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年七月三十日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   民主党政権による海賊対策のなし崩し延長に関する質問主意書

 菅内閣は本年七月十六日、ソマリア沖・アデン湾での海上自衛隊による海賊対策の一年間延長を決定した。
 そもそも、民主党は野党時代に、その根拠法である「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案」の審査の際、当時の政府が当該海域に海上保安庁の巡視船を派遣できないと判断した理由(①日本から遠距離にある、②海賊の所持する武器に対応できない、③各国が海軍の軍艦を派遣している)について、必ずしも絶対的なものでなく、説得力がないなどと批判し、同法案に反対した。ところが、民主党が与党となった後、本年七月十六日に国会に報告された「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に基づく海賊対処行動について」では、海上保安庁では海賊行為に対処することが困難であるとしており、その理由として、前記①から③までと同趣旨の内容を挙げている。また、民主党政権は海賊対策の主体をあくまで海上保安庁とするため新規に船を建造する予算(平成二十二年度五十二億円。平成二十五年度までの計四年間で二百三十億円の国庫債務負担行為)の計上までしている。民主党政権によるこのような説明なきなし崩し路線変更に国民は大きな疑念を有している(本年七月十九日付け日本経済新聞)。
 そこで以下のとおり質問する。

一 民主党政権が昨年反対した根拠法を与党となった後も修正せずに、海上自衛隊の派遣を一年間延長したのは何故か。昨年、民主党が根拠法に反対した理由を列挙した上で、民主党政権が反対から海上自衛隊派遣延長へと路線変更した理由を個々に明らかにされたい。

二 民主党政権は海賊対策の主体を海上保安庁にすべきとして新たな船の建造予算を平成二十二年度に計上したが、一のような路線変更を行うのであれば、当該予算はそれこそ「ムダ」として事業仕分けされるべきものである。政府は本年度、当該予算を執行停止すべきではないか。その理由とともに菅内閣の見解を明らかにされたい。あわせて政府は平成二十三年度において当該予算の計上を見送るべきと考えるが、その理由とともに菅内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。