質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第六三号

内閣参質一七四第六三号
  平成二十二年五月十一日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員中村博彦君提出経済連携協定に基づく介護福祉士候補者に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村博彦君提出経済連携協定に基づく介護福祉士候補者に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては御指摘のような約束をした事実はなく、御指摘の「二年間で看護師候補者四〇〇人、介護福祉士候補者六〇〇人」という人数は、あくまでも、当初二年間の受入れ最大人数として、フィリピン政府及びインドネシア政府に対して示したものである。

二の1から3までについて

 経済連携協定(経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(平成二十年条約第二号)又は経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(平成二十年条約第十六号)をいう。)に基づき入国した外国人介護福祉士候補者(以下「候補者」という。)は、介護福祉士の資格取得に向けて、介護福祉士の監督の下で研修を行うものであり、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)等に基づく職員等の配置の基準において、一般の介護職員と同様に取り扱うことは困難であると考えられるところ、このような取扱いが「不平等差別待遇」や「不合理」であるとの御指摘は当たらない。
 なお、平成二十二年一月から二月にかけて厚生労働省が実施した「インドネシア人介護福祉士候補者受入実態調査」においては、「コミュニケーション不足により問題事例が発生した」、「日本人職員が平易な言葉でゆっくり話をしても、引き継ぎ等に支障がある」等といった回答があり、まずは、候補者の日本語習得の支援に努めてまいりたい。

二の4について

 政府としては、候補者の受入れに伴い費用負担が発生することについて、事前に説明を行っており、受入れ施設はこのことを承知の上で申し込んでいるものと認識しているが、候補者の介護福祉士試験の合格に向けた学習を支援するため、今年度から、候補者を日本語学校に通学させた場合等に受入れ施設に対する助成を行うとともに、日本語習得の支援を目的とした集合研修を実施することとしており、意欲のある候補者が一人でも多く介護福祉士試験に合格できるよう、これらの施策を推進してまいりたい。

三の1について

 御指摘の国家試験の受験資格の要件等はそれぞれ異なっており、介護福祉士試験の合格率が看護師国家試験等の合格率よりも低いことのみをもって、介護福祉士試験の出題の在り方に問題があるとは言えないと考えている。
 なお、介護福祉士試験の在り方については、平成二十年十二月に「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会」において取りまとめられた提言も踏まえ、現在、介護福祉士試験の質をより一層高めるための方策について、検討しているところである。

三の2及び3について

 介護福祉士試験の問題文については、常用漢字以外の漢字には、原則として既に読み仮名を付しているところである。
 また、お尋ねのように平易な言葉に言い換えることについては、介護福祉士試験委員会で検討していくこととしている。
 介護福祉士試験は、十分な日本語能力を有していることを前提として行うものであり、現時点において、お尋ねのように受験時間を延長することは考えていない。
 また、現時点において、お尋ねのように在留期間を延長することは予定していない。
 いずれにせよ、介護の現場においては、医師、看護師及び介護職員等が、相互に連携して業務を行うとともに、利用者又はその家族等と密接に意思疎通を図る必要があることから、そのための日本語能力は不可欠である。