質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第三七号

内閣参質一七四第三七号
  平成二十二年三月九日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度(以下「直接支払制度」という。)においては、医療機関等からの申請から支払までに一定の期間を要することから、医療機関等の資金繰りに一定の影響があるものと認識している。

一の2、三の1及び六の2について

 御指摘の日本産婦人科医会が医療機関に対して行ったアンケート(以下「医会アンケート」という。)の結果や、本年四月以降も直接支払の実施を義務化しないようにとの医療関係者からの要望等も踏まえ、現在月一回となっている申請及び支払を複数回とすることによる支払までの期間の更なる短縮並びに独立行政法人福祉医療機構(以下「機構」という。)における低利融資の条件の更なる緩和による医療機関等の資金面での負担軽減並びに直接支払制度の適用猶予の延長について早急に検討してまいりたい。

二について

 妊婦健康診査の費用の公費負担分については、各市町村において医療機関等への支払方法等を決定しており、医療機関等における資金繰りへの影響について一概にお答えすることは困難であるが、出産育児一時金等と比較して、妊婦健康診査の平均的な公費負担額が少額であることから、妊婦健康診査の公費負担の拡充の影響は限定的であると考えている。したがって、妊婦健康診査の費用の公費負担の拡充と直接支払制度の導入が重なったことによる医療機関等の資金繰りへの影響についても限定的であると考えるが、いずれにしても、一の1についてで述べたとおり、直接支払制度については、医療機関等の資金繰りに一定の影響があるものと認識しており、医療機関等の資金面での負担軽減について早急に検討してまいりたい。

三の2及び九の2について

 直接支払制度は平成二十二年度までの暫定措置としているところであり、平成二十三年度以降の出産育児一時金制度の在り方については、御指摘の点も含め、検討してまいりたい。

四の1について

 出産育児一時金等の制度の見直しに伴う機構による経営安定化資金(以下「本件経営安定化資金」という。)の融資について、本年二月二十六日現在、機構に対して相談があった件数は、病院が四十四件、診療所が二百四十八件、助産所が十二件の合計三百四件であり、そのうち同日までに融資が行われている件数は病院が三十一件、診療所が百十七件、助産所が二件の合計百五十件である。また、同日までに機構に対して相談のあったものについて融資が行われていない理由としては、機構によると、同日時点で機構が融資の審査中であったこと、病院等が機構に対する申請の準備中であったこと、病院等が他の資金で対応した結果、本件経営安定化資金の申請を取り下げ、又は申請を行わなかったことなどがある。

四の2及び3について

 本件経営安定化資金については、既存の債務の額等を踏まえた弁済の可能性について審査の過程において勘案されることとなるが、既に機構が行う通常の経営安定化資金に比べ、償還期間、金利、担保等の条件を緩和するなどの措置を講じているところである。
 なお、本件経営安定化資金の融資の審査に当たっては、御指摘のように「院長の年齢」を理由として融資を行わないことはない。

五及び七について

 本件経営安定化資金の融資に係る条件について、昨年十月八日に、金利を更に引き下げるとともに、無担保で融資することのできる額の上限を引き上げるなどの対応を行ったところであるが、一の2、三の1及び六の2についてで述べたとおり、医療機関等の資金面での負担軽減について、早急に検討してまいりたい。

六の1について

 昨年十二月に実施された医会アンケートによれば、直接支払制度を実施していない医療機関の割合は全体の七パーセントである。また、医療機関の数としては、調査対象医療機関数二千八百六にこの割合を乗じて計算すれば、約二百となる。

八について

 御指摘の請求書については、直接支払制度の導入に当たって、分娩費用の内訳について透明化を図るべきとの指摘がなされていることを踏まえ、日本産婦人科医会の御意見も伺いながら、医療関係者、医療保険者、支払機関等の了解を得て定めたものでもあり、御指摘の出産証明書等の書類をこれに代えることは困難であるが、医療機関等の請求事務の簡素化に資するよう磁気媒体での申請への支援などについて検討してまいりたい。

九の1について

 直接支払制度については、一の1についてで述べたとおり、医療機関等の資金繰りに一定の影響があるものと認識しているところ、一の2、三の1及び六の2についてで述べたとおり、医療機関等の資金面での負担軽減について、早急に検討してまいりたい。