質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質一七四第三三号
  平成二十二年三月五日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出自殺対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出自殺対策に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国の自殺者数が平成十年以降、毎年三万人を超える状態が続いていることについては、非常に痛ましいことであり、深刻な状況であると考えている。
 政府としては、このような状況を踏まえ、内閣府に新たに設けた「自殺対策緊急戦略チーム」において平成二十一年十一月に「自殺対策一〇〇日プラン」を取りまとめるとともに、平成二十二年二月に自殺総合対策会議において「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を決定し、自殺対策の緊急的な強化を図っているところである。具体的には、三月を「自殺対策強化月間」と定め、地方公共団体及び民間団体等とも連携しながら、失業、倒産等の様々な社会的要因を踏まえた相談窓口の設置等の取組や自殺の防止等に関する国民の理解を深める取組等を進めているところであり、今後とも総合的な自殺対策の一層の推進が必要であると考えている。

二について

 お尋ねについては、自殺対策基本法(平成十八年法律第八十五号)に基づき策定した「自殺総合対策大綱」(平成十九年六月八日閣議決定)において、平成二十八年までに、平成十七年の自殺死亡率を二十パーセント以上減少させることを目標としているところである。

三について

 お尋ねの「精神医療専門家」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ハローワークにおける心の健康相談等の対面型相談支援事業は、都道府県が「地域自殺対策緊急強化基金」等を活用して実施するものであり、これに携わる精神保健福祉士等の専門家の数については、個々の都道府県等において、その実情に応じて決められるものであることから、政府としては把握していない。

四について

 うつ病に関する対策としては、平成十六年に策定した「こころのバリアフリー宣言」に基づくうつ病に関する正しい理解を促進することを目的とした普及啓発活動や、職場におけるメンタルヘルスに関する事業者への支援等を行っている。また、自殺対策の観点も踏まえて、うつ病の重症化を防止し、未受診のうつ病患者の早期発見の推進を図るため、地方公共団体への技術的支援や内科医等への研修を行うとともに、うつ病の治療の質の向上を図るため、うつ病の治療方法として有効性が認められている認知行動療法の普及を推進するなどの施策を実施しているところである。

五について

 政府は、多重債務者に対する経済的支援策として、「多重債務問題改善プログラム」(平成十九年四月二十日多重債務者対策本部決定)に基づき、丁寧な事情の聴取、具体的な解決方法の相談及び事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、多重債務の予防及び悪化の防止に資する場合に限って行われる低利の貸付け等の顔の見えるセーフティネット貸付けの提供の推進等を図っているところである。

六について

 お尋ねについては、「いのちを守る自殺対策緊急プラン」に基づき、平成二十二年度から、内閣府において、毎月、警察庁から都道府県別及び市区町村別等の自殺統計データの提供を受け、自殺者の性別、年代、職業等の状況について明らかにし、公表することとしている。
 個々の都道府県等における自殺対策については、当該都道府県等において、それぞれの実情に応じて実施されるものであるが、政府としては、都道府県等が地域の実態を踏まえた効果的な対策を講じられるよう、引き続き必要な支援や情報提供等を実施してまいりたい。

七について

 政府としては、これまでも都道府県等と連携し、自殺予防に関する普及啓発や、ハローワーク等の公共の施設を活用した対面型相談支援事業等の取組を推進してきたところであるが、御指摘のような対策も含め、都道府県等における対策が地域の実情に応じて講じられるよう努めてまいりたい。