質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質一七四第三一号
  平成二十二年三月五日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加藤修一君提出植林放棄地問題と稀少な水資源にかかる水源林や生態系機能の喪失及び地下水保全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出植林放棄地問題と稀少な水資源にかかる水源林や生態系機能の喪失及び地下水保全に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「植林放棄の実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、都道府県に依頼して実施している造林未済地(人工林伐採跡地のうち伐採が終了した日を含む伐採年度の翌伐採年度の初日から起算して三年以上経過しても植栽等の更新が完了していないものをいう。以下同じ。)の現況調査により、造林未済地の実態を把握しているところである。平成二十一年に実施した同調査によれば、平成二十年度末現在の造林未済地の面積は、約一万四千ヘクタールとなっている。なお、平成十八年に実施した同調査により明らかとなった平成十七年度末現在の約一万七千ヘクタールの造林未済地のうち、平成二十年度末までに再造林等によりその状況が解消されたものは、約九千八百ヘクタールとなっている。
 お尋ねの「植林放棄に対して警告を発した件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条の九第三項の規定に基づいて市町村の長が行う伐採後の造林をすべき旨の命令については、平成十五年度から平成十九年度までの間に行われたことはないと承知している。
 お尋ねの「植林放棄に対して・・・罰則を科した件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、森林法第二百七条第二号に基づく同法第十条の九第三項の規定による命令違反に対する罰則を科した件数については、平成十五年度から平成十九年度までの間に行われたことはないと承知している。
 お尋ねの「水源の諸元」の意味するところが必ずしも明らかではないが、水源のかん養等の目的を達成するため、森林法に基づく保安林制度が設けられており、このために必要な個別の情報収集等は、農林水産省において行っているところである。

二について

 政府としては、造林未済地の解消及び発生の未然防止を図るため、森林法に基づく森林計画制度の適切な運用や森林整備事業の活用等に取り組んでいるところである。
 また、農林水産省においては、適切な森林施業を確保するため、同制度や支援の在り方について検討しているところである。

三について

 政府としては、御指摘の「森林認証制度」により認証された森林から生産された木材等、合法性及び持続可能性が証明された木材が消費者に選択され利用されるよう、合法木材の普及・啓発のための研修や説明会等への支援を行っているところである。

四について

 地下水の保全に関しては、地方公共団体が地域の実情に応じて条例等により取り組んでいるところであり、これらの取組を通じた適正な地下水の管理が重要であると考えている。また、森林の土地に関しては、森林法に基づく保安林制度や民有林における開発行為に対する許可制度等により、その保全に取り組んでいるところである。

五について

 御指摘の「「保全域」を設定」及び「生物多様性の視点をも含めた総合的な施策の策定と法的整備」が具体的にどのような制度を指すかは定かではないが、地下水の保全に関しては、四についてで述べたとおりである。

六について

 水に関する基本的な法制度の在り方については、様々な議論があることから、これらの議論も踏まえながら考えるべきものと認識している。