質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四号

内閣参質一七四第二四号
  平成二十二年三月二日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加藤修一君提出外国人土地法等の規制強化と国民共有の財産である国土資源(土・緑・水)等の保全及び我が国の安全保障に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出外国人土地法等の規制強化と国民共有の財産である国土資源(土・緑・水)等の保全及び我が国の安全保障に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 御指摘の「仮想水」、「間接水」及び「直接水」の考え方については、現在のところ、一般的に確立されたものはないと認識している。いずれにしても、適切な農林業活動等を通じて発揮される森林や農地等の水源かん養機能の維持・向上を含め、水循環系の健全化を図っていくことが重要であると考えている。

一の3について

 政府としては、「食料・農業・農村基本計画」(平成十七年三月二十五日閣議決定。以下「基本計画」という。)における総合食料自給率目標(供給熱量ベース)四十五パーセントの前提となる生産努力目標を達成するため、農業用水の安定的な確保を図ってきたところであり、現在検討している基本計画の変更においても食料自給率目標の達成のために農業用水の安定的な確保は重要であるとの認識に変わりはない。
 また、農業用水は、その性格上、供給範囲が限られており、また、その需要量は農家の作付作物等の意向により大きく変動するものであることから、これらを考慮に入れた地域ごとの分析を踏まえてその効率的な利用等を図っているところである。

一の4について

 御指摘の気候変動による積雪寒冷地における積雪量の変化及びこれに伴う利水条件への影響については、現在確立された分析手法があるわけではないが、農業用水の安定的な確保を図っていくことは重要であると認識しており、今後の観測データや知見の蓄積に応じて、検討を進めてまいりたい。

二について

 お尋ねについては、例えば、不動産の取得の事実を公示するものとして、不動産の登記があるが、登記記録からは、登記名義人の国籍等を把握することはできないこと等にかんがみると、外国人等による不動産の取得の実態について調査等を行い、詳細を把握することは困難である。

三及び五について

 御指摘の「「重要なインフラ」を守るための包括的なルール」や「「重要なインフラ」に対する公共秩序、公衆衛生、安全保障の観点からの公的な介入等を可能とする制度」が具体的にどのような制度を指すのか必ずしも明らかではないが、外国人土地法(大正十四年法律第四十二号)については、外国人等による自衛隊施設の周辺の土地の買収が部隊等の適切な運営に支障を及ぼしているとは認識していないこと等から、現在のところ、同法の改正を行う必要があるとは考えていない。

四について

 御指摘の「関連法」が具体的にどのような法令を指すのか必ずしも明らかではないが、適正かつ合理的な土地利用の確保、取引の安全と円滑等を図る観点から、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に基づく土地取引規制制度、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)に基づく不動産登記制度等が設けられており、現在のところ、土地の売買等に関し、新たな事前承認制度の導入等の措置を講ずる特段の必要性があるとは考えていない。