質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一七四第一〇号
  平成二十二年二月五日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員脇雅史君提出八ッ場ダムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員脇雅史君提出八ッ場ダムに関する質問に対する答弁書

一について

 前回答弁書(平成二十一年十一月二十日内閣参質一七三第三一号。以下「前回答弁書」という。)で述べたとおり、八ッ場ダムについては、本体工事を中止する考えを表明したものであり、今後、治水、利水等の観点から検証を行うこととしている。

二について

 お尋ねの「ダム下流における河川の水質悪化」が起こった事例としては、例えば、一級河川吉野川水系吉野川の早明浦ダムにおいて、昭和五十一年台風十七号による洪水時に貯留した濁水を放流したことにより、長期間にわたりダム下流の河川の濁度が上昇した事例がある。その後、早明浦ダムにおいては、同様の事態が生じることを防ぐため、ダム貯水池からの放流水の取水を選択的に行うための設備を設置するとともに、ダム貯水池周辺の植栽や土砂流入防止対策を実施しており、これらの対策に要した費用は、現在までに約三十五億円である。
 「ダム下流における河川の水質悪化」が起こらなかった事例としては、例えば、一級河川石狩川水系石狩川の大雪ダム下流の河川でこれまでに測定されたデータによれば、ダム建設後に顕著な水質悪化は見られていないという事例がある。
 なお、一般的に、ダム下流の河川の水質の変化には様々な要因があり、その要因を特定することは困難である。

三について

 国土交通省所管のダムを建設した場合に、「土砂の流れが遮断されること」のみによって生じた河床低下及び河口部の海浜後退等があったか否かについては、現時点で確認できていないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 前回答弁書における御指摘の部分については、八ッ場ダム建設事業は現在も事業中であり、平成二十年度末までに約三千二百十億円(平成二十年度に係る見込額を含む。)の事業費を執行しているが、これは、国土交通省又は独立行政法人水資源機構による他のダム建設事業の場合と比較して多額であるということを述べたものである。

五について

 着手から長期間が経過した八ッ場ダムがいまだ完成していないのは、国土交通省(旧建設省)と地元地方公共団体、ダム建設予定地の地権者等との間で、ダム建設に係る合意形成に時間を要したためである。