質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第一一六号

出産育児一時金直接支払制度の実施を延期している施設名の公表に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月十六日

小池 晃   


       参議院議長 江田 五月 殿



   出産育児一時金直接支払制度の実施を延期している施設名の公表に関する質問主意書

 出産育児一時金直接支払制度(以下「直接支払制度」という。)については、産科医療機関及び助産所(以下「産科医療機関等」という。)の経営に対して「医療機関等からの申請から支払までに一定の期間を要することから、医療機関等の資金繰りに一定の影響があるものと認識している」と、政府も私の質問に対する答弁書(内閣参質一七四第三七号、平成二十二年三月九日付)で認めた。
 この認識を受けて、政府は、直接支払制度の全面適用を延期するとともに、つなぎ融資の融資条件の緩和、出産育児一時金の月二回払いを導入するなどの対策を発表した(月二回払いの導入のみ未実施)。また、来年四月以降の制度について、社会保障審議会医療保険部会でも議論が行われることとなっている。
 しかし、この間、一部で報道された直接支払制度の適用を延期している施設名の公表に関しては問題があり、以下質問する。

一 直接支払制度を実施していない産科医療機関等をホームページ等に掲載して公表すべきという意見もあったものの、この公表については、本年三月十二日の厚生労働省保険局長通知でもふれておらず、現在まで実施されていないが、その理由を示されたい。本年二月に実施した産科医療機関等へのアンケート結果を踏まえ、これを実施しないこととしたとも報道されているが、その通りか。

二 直接支払制度を実施していない産科医療機関等のホームページ等での公表は行われていないものの、国民健康保険・保険者の関係者だけがアクセス出来る国民健康保険中央会(以下「国保中央会」という。)のサイトには直接支払制度の請求実績のある施設名が掲載されていると報道されているが、これは事実か。また、健康保険組合、共済組合など被用者保険の保険者において国保連と同様の取り組みを進めようとしているのか、検討・準備状況などもあわせて明らかにされたい。

三 直接支払制度の請求実績を、直接支払制度にかかる請求をした他の保険者や保険者を通じて請求にかかる被保険者以外の被保険者に知らせることを前提として国保中央会のサイトに実績を掲載している。当該請求情報は直接支払制度にかかる請求をした他の保険者や保険者を通じて請求にかかる被保険者以外の被保険者に知らせることを予定されていない情報であり、かつ開示対象の産科医療機関等に開示されるかどうかの有無について個別に了承を得ていない。また、どのような内容が開示されているかなどについても開示対象の産科医療機関等に知らされていない。このような情報開示のあり方は問題ではないか。また、開示対象の産科医療機関等の個別承諾を得ていない上、開示情報を受け取ることが予定されている者が行政機関に限定されておらず行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律に照らして問題ではないか。

四 直接支払制度の未実施産科医療機関等と実施産科医療機関等が混在する地域では、実施産科医療機関等に妊婦が集中し未実施産科医療機関等の経営体力を弱らせている。
 今回の情報開示の取り扱いでは保険者は請求情報の有無を回答するだけで当該産科医療機関等が分娩費の支払猶予など直接支払制度に代わる対応を実施しているか被保険者に知らせることにはなっていない。
 ただでさえ直接支払制度によって産科医療機関等の経営は打撃を受けている。今回の情報開示の取り扱いによって更に、直接支払制度の未実施産科医療機関等の経営に追い打ちをかけているに等しく直接支払制度の全面適用延期の効果を帳消しにしかねない。
 三で述べたとおり情報開示のあり方にも大きな問題があり、保険者を通じた直接支払制度にかかる請求実績のある産科医療機関等の公表をただちに中止すべきである。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。