質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第一一〇号

新型インフルエンザ対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月十五日

澤 雄二   


       参議院議長 江田 五月 殿



   新型インフルエンザ対策に関する質問主意書

 平成二十一年四月に新型インフルエンザ(A/H1N1)が発生して以来、水際対策、医療体制の確保、ワクチン接種など様々な対策が講じられてきた。第一波が終息した現段階においては、これまでの対策を検証する必要があり、厚生労働省の「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議」においても、平成二十二年六月に報告書が取りまとめられたところである。今回の新型インフルエンザ対策の経験を生かし、今後の再流行に備えるとともに、発生が懸念されている新型インフルエンザH5N1など強毒性の新型インフルエンザに対しても万全の対策を講じる必要がある。このような観点から、以下質問する。

一 今回の新型インフルエンザは弱毒性のものであったが、策定されていた行動計画及びガイドラインは強毒性の新型インフルエンザ発生を念頭においたものであったため、混乱が生じた。今回の新型インフルエンザ対策の教訓を踏まえ、現行の行動計画及びガイドラインそのものを見直し、新型インフルエンザの病原性等に応じて対応できるよう複数の選択肢を用意する必要があるのではないか。仮にその必要を認めるならば、そのスケジュールを明らかにされたい。あわせて、未策定のワクチン接種に関するガイドラインをいつまでに策定する考えか。政府の見解を明らかにされたい。

二 新型インフルエンザ発生時には国民への迅速かつ正確な情報提供が重要である。今回の新型インフルエンザ発生時においては、迅速な報道発表が行われた一方で、現場の地方自治体や医療機関等への情報提供に先行して報道発表が行われ、現場では報道発表に関する問い合わせに対応できない問題が生じた。情報提供に当たっては、地方自治体や医療機関との連携を十分に図り、地方自治体や医療機関に、正確かつ必要な情報が迅速に直接届くようなシステムを構築する必要があるのではないか。政府の見解を示されたい。

三 今回の新型インフルエンザ発生時、政府はまず水際対策に力を入れたが、今回の新型インフルエンザ対策における水際対策は、我が国への新型インフルエンザ進入や感染拡大を遅らせるのにどれだけ効果があったと評価しているか。また、今回の水際対策の問題点及びこれを踏まえた今後の改善点並びにH5N1等の強毒性の新型インフルエンザに対する検疫の有効性についてどのように認識しているか。さらに、今後の検疫所の人員体制の拡充、応援体制の在り方について、政府の見解を明らかにされたい。

四 感染拡大地域における発熱外来の実態を踏まえ、発熱相談センター及び発熱外来の設置の意義についてどのように認識しているか。また、医療機関が安心して新型インフルエンザの治療等を行うことができるよう、院内感染対策等の施設整備に対する助成、医療従事者への個人防護具の提供、医療従事者が感染した場合における休業補償及び健康被害への補償を検討する必要があるのではないか。政府の見解を明らかにされたい。

五 今回の新型インフルエンザワクチン接種事業において、当初出荷されたワクチンは、十ミリバイアルのものが中心であった。受託医療機関においては、十ミリ分を使い切るだけの接種希望者を集めなくてはならず混乱が生じた。また、ワクチン接種が開始された際、接種希望者からの問い合わせが殺到するなど、多くの医療機関は通常の診療に加えてその対応に追われることとなった。十ミリバイアルを導入した経緯及びその評価、接種スケジュールについて地方の実情に応じた弾力的運用を認める必要性、集団的接種の実施の在り方について、政府の見解を明らかにされたい。

六 今回の新型インフルエンザワクチン接種事業は、受託医療機関の協力の下で行われた。しかし、国民のワクチン接種希望時期とワクチンの供給時期のずれにより、現在、受託医療機関は多量のワクチン在庫を抱えている。このままでは、受託医療機関は今回の接種事業に尽力したにもかかわらず、在庫分の費用負担を強いられることになる。国はワクチン在庫を買い取るべきではないか。今回の接種事業の実施主体は国であり、国は責任を持って対応する必要があると考える。政府の見解を明らかにされたい。

七 新型インフルエンザH5N1に対応したプレパンデミックワクチンについては、平成十八年度から二十年度にかけて各一千万人分ずつ、計三千万人分が購入されたが、すでに初年度の一千万人分は有効期限を迎えており、今年度中に更に一千万人分も有効期限を迎えることとなる。早急にプレパンデミックワクチンの備蓄を再開する必要がある。これに対する政府の対応及び新たにプレパンデミックワクチンを購入する場合の財源確保策について明らかにされたい。また、プレパンデミックワクチンの医療従事者あるいはそれ以外の国民を対象にした事前接種の実施及び事前接種を行う場合の健康被害救済の在り方について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。