質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第八九号

韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月九日

大江 康弘   


       参議院議長 江田 五月 殿



   韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件に関する質問主意書

 韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件(以下「本事件」という。)に関し、我が国は本年五月二十日、総理大臣コメント「韓国哨戒艦沈没事案に関する韓国側の調査報告発表について」(以下「総理大臣コメント」という。)を発表した。総理大臣コメントの第三項には「調査内容については、事前に韓国側より十分に説明を受けてきた。これを踏まえ、我が国としては、韓国を強く支持するものである。北朝鮮の行動は許し難いものであり、国際社会とともに強く非難する。今後の対応にあたっては、地域の平和と安定のため、韓国及び米国を始めとする関係各国と引き続き緊密に連携・協力していく考えである」とある。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 菅内閣は総理大臣コメントを始めとする本事件についての鳩山内閣の対応方針を踏襲するのか。

二 総理大臣コメントには「調査内容については、事前に韓国側より十分に説明を受けてきた。」とあるが、その説明はいつ、どのレベルで行われたのか。
 また、岡田外務大臣は本年五月十八日の参議院外交防衛委員会において、我が国が韓国と共同歩調を取る際の前提条件に関して、「調査結果について日本としてもきちんとそれを自ら検証し、そして納得をするということが必要だと思います、非常に重要な話でありますので。もちろんその調査結果も、(中略)幾つかの国の人間が入って行っていることではありますけれども、しかし日本としても、日本の科学的見地に基づいて、そのことの妥当性ということは自らやっぱり検証しなければならないというふうに思います。」と答弁している。その検証はいつ、どのレベルで、どのような方法で行われたのか。

三 菅内閣は日本国民の生命や財産が脅かされる恐れのある事態が朝鮮半島において生起した場合、どのように対処するのか。

四 日本政府は朝鮮半島有事の際の各省庁における具体的な行動計画ないし行動指針を策定しているのか。策定しているのであれば、菅内閣はそれら行動計画及び行動指針を厳格に適用するか否か。

五 総理大臣コメントには「地域の平和と安定のため、韓国及び米国を始めとする関係各国と引き続き緊密に連携・協力していく考え」とあるが、菅内閣に朝鮮半島情勢の鎮静化に関して具体的な考えはあるのか。

六 本年五月二十七日付の朝鮮日報の報道によると、北朝鮮の潜水艦戦力の七~八割が日本海側の潜水艦基地、遮湖、馬養島、退潮(現在の楽園郡)、元山などに配置されているという。北朝鮮海軍が配備しているロメオ級潜水艦(水中排水量一七三三トン)、サンオ級潜水艦(水中排水量二七七トン)の水中航続距離が二五〇~三五〇海里(四六三~六四八キロメートル)と推定され、潜水艦基地が日本海側にあることも加味すると、日本海側の我が国領海にも北朝鮮の潜水艦が潜入している可能性、日本においても本事件と同様の事件が生起した可能性は十分にあると判断せざるを得ない。右の点を踏まえ、日本の海上防衛の体制、特に日本海側における対潜水艦作戦体制の詳細を明らかにされたい。

七 現在、我が国の海上自衛隊、特に護衛艦隊、航空集団及び潜水艦隊隷下の実戦部隊が日本の海上及び海中における他国の侵犯を防止するために具体的な行動をとっているのか否か明らかにされたい。もし、具体的な行動をとっていないのであれば、その理由も併せて示されたい。

八 我が国の海上自衛隊がアメリカ海軍や韓国海軍と共同で、日本海における北朝鮮の潜水艦侵犯を想定した対潜水艦作戦又は同じ想定の下で行われる演習を過去実施したか。また、今後それらを実施する予定があるか。それぞれ明らかにされたい。もし、実施する予定がないのであれば、その理由も併せて示されたい。

  右質問する。