質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第七五号

「たん吸引器」を介護保険制度における福祉用具として検討することに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年五月二十四日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「たん吸引器」を介護保険制度における福祉用具として検討することに関する質問主意書

 介護保険制度における福祉用具の保険給付の在り方については、厚生労働省「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」において、サービスの向上、貸与種目と販売種目の整理等の議論・検討が行われていると承知している。
 厚生労働省は平成二十二年四月一日、原則として医師や看護師にしか認められていない医療行為の「たんの吸引」などについて、研修を受けるなど一定の条件下で、特別養護老人ホームの介護職員にも容認する内容の局長通知を都道府県宛に通知した。また、同省は在宅の療養患者・障害者等に対して医師や看護師以外の者が「たんの吸引」を行うことについても、平成十七年の局長通知により容認している。こうした中、平成二十二年五月十六日付の読売新聞において、長妻昭厚生労働大臣が「たんの吸引」等医療行為の一部を介護職員等が行える場を、特別養護老人ホームだけでなく、グループホームや有料老人ホームなどにも拡大する等の介護保険法の見直しを表明したとの報道があった。
 要介護者における「たんの吸引」については、厚生労働省「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関するモデル事業」を検証した結果、吸引の措置が必要な介護者が八・六%、約一万七千人いるとの状況が明らかになっており、そのニーズは幅広いと言える。しかし、「たん吸引器」は家庭で使用するものでも三万七千円台と高額であり、レンタルでも月約四千円前後の負担となっているものの、介護保険制度における福祉用具として認められていない。つまり、在宅介護を受けている者については全額自費での負担を余儀なくされている。
 一方、身体障害者手帳等を有する者については、平成十八年施行の障害者自立支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」(市町村事業)により、「たん吸引器」が給付又は貸与されている。しかし前述のように、加齢による在宅介護等の場合、「たん吸引器」は介護保険制度における福祉用具とはならないため、補助対象とはなっていない。こうした背景の下、以下質問する。
 今後、介護保険制度の見直しに当たっては、福祉用具の範囲の見直しを早急に行い、在宅介護における家族の負担軽減の観点から、「たん吸引器」を福祉用具の種目とするよう検討を進めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。