質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の加速化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年三月十日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の加速化に関する質問主意書

 現在、単独処理浄化槽の新設は原則禁止されているが、依然として約六〇〇万基の単独処理浄化槽が存在しており、合併処理浄化槽への転換は遅々として進んでいないのが実状である。
 しかし、公共用水域の水質保全のためには、風呂や台所の排水といった生活雑排水が処理出来ない単独処理浄化槽を廃絶して、合併処理浄化槽への転換を促進していくことが重要である。
 このような観点から、平成二十二年度予算において、合併処理浄化槽に関しては低炭素社会対応型浄化槽整備推進事業に限り、助成率二分の一を認めたことや、単独処理浄化槽の撤去に要する費用の助成要件となっている「使用年数制限」(三十年以内)を撤廃したことは評価するものである。
 一方、昨年十一月の「事業仕分け」においては、循環型社会形成推進交付金が評価の対象となり、予算執行率の低さなどを理由に一〇%程度の予算縮減と評価された。しかし、予算執行率の低さは助成率の低さによる使い勝手の悪さに起因するものであり、浄化槽そのものの評価によるものではない。浄化槽の能力については技術的にも法律的にも担保されている事実を重くみるべきである。下水道事業や農村集落排水事業等の補助率が二分の一であるのに対して、浄化槽事業の助成率は三分の一にとどまっていることから、財政の厳しい市町村にとっては財政負担割合の大きい浄化槽を導入しづらい状況にあり、循環型社会形成推進交付金は使い勝手の悪いものとなっている。そればかりか、国土交通省、農林水産省、環境省における、それぞれの事業を比較すれば、浄化槽事業の助成率が劣っていることは明らかである。浄化槽事業の助成率を三分の一から下水道事業などと同様の二分の一へと改めることなく予算縮減との判定を下すのは本末転倒であることを政府は認識すべきである。
 そこで、以下質問する。

一 予算執行率が低い原因について

 内閣府所管の「汚水処理施設整備交付金」(事業仕分けの対象にならなかった)は、三位一体改革の時に、国土交通省、農林水産省及び環境省の事業を内閣府に一元化し、市町村が下水道事業、農村集落排水事業、浄化槽事業を二つ以上組み合わせて使えるようにしたものである。その予算は内閣府で一括計上しているものの、各事業の補助(助成)率については、下水道事業や農村集落排水事業が二分の一であるのに対し、浄化槽事業は依然として三分の一にとどまっている。このようなことから、汚水処理施設整備交付金についても地方自治体にとって使い勝手が悪いものとなっているとの指摘を聞いている。
 そこで、循環型社会形成推進交付金の予算執行率が低い理由、汚水処理施設整備交付金において事業毎に補助(助成)率に差異(三分の一及び二分の一)を設けている理由、浄化槽のみ助成率を三分の一としている理由について、それぞれ政府の見解を示されたい。

二 国の地方自治体に対する助成率の二分の一への恒久的引き上げについて

 斉藤前環境大臣の時、国は浄化槽のモデル事業を開始し、当該事業に係る助成率を二分の一に引き上げたところ、地方自治体から大変喜ばれた。
 平成二十二年度予算において、二年間の時限措置ながら低炭素社会対応型浄化槽整備推進事業について助成率を二分の一としたことは前進したものと言える。しかし、従来型の合併処理浄化槽については助成率三分の一のままで変わっていない。
 また、同じ浄化槽事業であっても、内閣府や国土交通省で予算を計上している沖縄や離島等における事業については、助成率二分の一と手厚く措置されており、まさにタテ割りそのものである。
 このように関係府省によって浄化槽事業に類似した事業に係る助成措置が異なっていることにかんがみ、汚水処理の観点から浄化槽予算の一本化を図るとともに、浄化槽の助成率については全体的に二分の一への恒久的引き上げが必要と思うが、政府の見解を示されたい。
 更に、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を加速させるためにも、浄化槽の配管工事に対しても助成を拡大すべきと考えるが、併せて政府の見解を示されたい。

三 個人設置型の浄化槽に係る個人負担の大幅軽減について

 個人設置型の浄化槽の設置については、現行はその費用の六割が個人負担となっており、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換したくともその費用負担に苦慮しているという実態がある。一部補助金制度はあるものの、その転換が進んでいないのが現実である。
 先に述べた様に、汚水処理の観点からの浄化槽予算の一本化が必要である。環境省の循環型社会形成推進交付金(平成二十二年度予算:一一六億八八〇〇万円)と、内閣府の地域再生基盤強化交付金(汚水処理施設整備交付金)(平成二十二年度予算:一〇三三億八九〇〇万円)を活用し、個人設置型の浄化槽に係る個人負担を大幅に軽減するなどの措置が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 「浄化槽汚泥濃縮車」への助成措置について

 浄化槽汚泥の収集運搬に際し、現在、バキューム車と水張りをするための給水車がセットになって動いているが、浄化槽汚泥(脱水)濃縮車を導入すれば、給水車が必要ないので効率性が向上し、運搬過程でのCO2削減、処理水量・エネルギーの削減に寄与することが期待されている。
 そこで公明党は一昨年十月、政府に対し「浄化槽整備事業」の助成率の引き上げや「浄化槽汚泥濃縮車」に対する支援措置の新設を申し入れたところ、平成二十一年度予算の「循環型社会形成推進交付金(一般廃棄物・公共事業)三八九億円」の中で、「効率的な汚泥処理のための設備の増強」として汚泥濃縮装置が支援対象となった。
 そこで、同交付金により市町村が購入した浄化槽汚泥濃縮車を民間事業者にリースすることができるのか、政府の見解を示されたい。また、民間事業者は同交付金の詳細について知らないようであるので、民間事業者に対してより一層の周知徹底を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 更に、民間事業者が浄化槽汚泥濃縮車を購入する場合は未だ支援対象となっていないが、温暖化対策、水資源対策の視点から、民間事業者の浄化槽汚泥濃縮車購入に対する補助制度の導入について検討すべきであると考える。同補助制度の導入に際して、どのような課題があるのかも含めて、政府の見解を示されたい。

  右質問する。