質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

住宅リフォーム事業の促進と地方経済の活性化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年二月三日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   住宅リフォーム事業の促進と地方経済の活性化に関する質問主意書

 我が国の住宅は三〇年から四〇年程度で建て替えるなど、欧米に比べて住宅寿命が短いのが実態であり、最近では長期優良住宅(二〇〇年住宅等)が普及しつつあるが、昨今の景気低迷や先行き不安などにより新築住宅の建設が低迷する一方、住宅リフォーム市場が伸びつつある。
 このような中、公明党は先の第一七三回臨時国会で、エコポイント制度の継続や対象品目の拡大を主張し、これに対し政府は、同制度の継続と併せ、住宅関連のエコ化が重要との見解を表明した。今回新たに策定された平成二十一年度第二次補正予算の緊急経済対策には環境にやさしい住宅の新築や改修を促す「住宅版エコポイント制度」が盛り込まれた。
 同制度については、山口那津男公明党代表が、去る十二月十日の記者会見において、自公政権が家電製品のエコポイント制度を実施した際、買い控えを減殺するためにさかのぼって制度を適用したことに触れ、「遡及適用を組み込まないと効果が薄れる」と指摘した。結果、住宅版エコポイント制度の適用対象は、「新築住宅」の場合は昨年十二月八日の同制度の発表以降の着工で平成二十一年度第二次補正予算成立後の工事完了、「リフォーム」の場合は本年一月一日以降の着工で同補正予算成立後の工事完了というふうに「遡及」することが決定した。
 そこで、地方経済の活性化に寄与するリフォーム事業の支援施策について質問する。

一 住宅版エコポイント制度について

 「エコ消費三本柱」の一つである「住宅版エコポイント制度」は、経済産業省、国土交通省、環境省の三省合同事業であるが、エコポイントの発行は、エコリフォームの場合、既存住宅の断熱改修やバリアフリーリフォームが対象となっている。
 しかし、工務店などのリフォーム工事業者によると、リフォームのきっかけとして、浴室、台所、トイレ等の水回りの水漏れや家屋の雨漏りへの対応、外壁や内装の塗装、介護によるバリアフリー化の必要性からリフォームを検討する方が多いとのことであり、断熱改修をきっかけとしてリフォームする方は極めて少ないということであった。
 住宅版エコポイント制度には、ポイントの即時交換の仕組みはあるが、このような現場の声を考えると、エコポイントの発行対象に省エネ型の給湯器や水洗トイレ、合併処理浄化槽など、リフォームのきっかけとして国民のニーズが高く優先度の高い機器を加えることによって、より一層のリフォームへのインセンティブが働くものと考える。
 国民目線を強調する現政権においては、この現場の声を尊重することが制度を作って魂を入れることになると思うが、政府の見解を示されたい。

二 合併処理浄化槽の推進と地方経済の活性化について

 平成十二年の浄化槽法改正以降、単独処理浄化槽の新設は原則禁止されたが、現在でも、約六〇〇万基の単独処理浄化槽が存在している。しかし、毎年の合併処理浄化槽への転換は約二〇万基程度であり、このペースで行くと整備が完了するまでに三〇年かかることになり、遅々として進んでいない実態がある。
 こうした「単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推進」することは、公共用水域の水質保全というエコの観点からも焦眉の急であり、低炭素社会対応型浄化槽集中整備事業以外においても、リフォームへのインセンティブを働かせるために、国の地方自治体に対する補助率の二分の一への恒久的引き上げとともに、合併処理浄化槽などにエコポイントを付与することは、地方経済を持続的に活性化することに寄与することになると思うが、政府の見解を示されたい。

三 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の推進について

 合併処理浄化槽への転換が遅々として進まない原因として、既に単独処理浄化槽の使用者は水洗化された生活を享受しており、また、高齢者・年金受給世帯などにおいては転換したくともその費用に苦慮しているという実態があり、一部補助金制度はあるものの、その転換が進んでいないのが現実である。
 さらに、下水道事業との調整も原因の一つであると考える。同事業については、「事業仕分け」において、財源の地方移管が言われていたが、現状では下水道法等を含む各種の制約があり、単に財源移管だけでは本当の意味での移管は進まないものと思われる。
 合併処理浄化槽への転換を推進するためには、平成三年の旧建設省と旧厚生省との「合併処理浄化槽設置整備事業と下水道事業との調整について」の合意事項について廃止も含めた抜本的な見直しを行うとともに、個人設置型については設置者個人の現行六割負担を大幅に軽減するなどの大胆な施策を講じる必要があると考える。また、低所得者には「転換に要する経費を全額公費負担とする制度」や、「転換を促進させるための法改正や行財政措置」が必要と考える。以上のことについて、政府の見解を示されたい。

四 地球温暖化対策と住宅ストック化の推進及び活用について

 住宅ストックの有効活用は地球温暖化対策に資するものであり、かつ、持続的な地方経済の活性化に寄与するものである。
 しかし、リフォームに関しては、工事に際しての見積価格の妥当性や品質・性能、欠陥・不具合への保証などをめぐる問題や不安の声を聞くところである。
 これに対応し、リフォームの推進に向けた環境整備や支援策を強化することは喫緊の課題である。
 そのために、住生活基本法に基づく施策の充実とともに、マンションの大規模修繕やリノベーション(修理・修復)、増改築等を含むリフォーム推進策として、①リフォーム工事診断の妥当性の確保、②瑕疵があったときに消費者が保証を受けられるリフォーム保険制度の創設、③リフォームに対する国庫補助制度の創設、④ローンによらないリフォームに対する投資型減税の適用対象の拡大と要件の緩和、⑤消費税減免特例措置の創設など、リフォーム工事に係る消費者の安心実現に向けた大胆な施策の実行が求められる。
 さらに、⑥地域認証材を使ったリフォームに対する優遇措置、⑦住宅関連融資特別経理(特別勘定)の設置を前提に民間金融機関に公的資金を注入することによるリフォーム融資の促進等も求められる。以上①~⑦などの思い切った大胆な施策を講ずべきと思うが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。