質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

循環型社会及び自然共生社会への移行を目指して、再生骨材コンクリートのリサイクル資源等としての利活用の促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年一月二十五日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   循環型社会及び自然共生社会への移行を目指して、再生骨材コンクリートのリサイクル資源等としての利活用の促進に関する質問主意書

 鳩山総理は温室効果ガス二十五%削減を世界に公約し、また本年十月には、生物多様性条約第十回締約国会議(COP一〇)が名古屋で開催される。
 昭和四十年代頃までは、コンクリート骨材は、河川骨材が主流であったが、長年の開発・使用による資源の枯渇や環境保全の観点から採取規制区域が拡大した。現在では山からの砕石が主流をなしているが、資源は無尽蔵ではない。
 現在、耐用年数等の関係で、建造物の再建・改築が拡大していることに伴い、建設廃材が増大の一途をたどっており、リサイクルによるコンクリート廃材の再資源化は時代の要請である。
 再生骨材コンクリートの利活用は、河川等からの骨材採取を避けることになることから、環境破壊防止や運搬等の減少に伴うCO2削減に貢献すると同時に、生物多様性の維持・確保にも有効である。
 しかし現状は、経済産業省所管の再生骨材コンクリートのJIS規格は既に整備されているものの、公共工事のバイブルである国土交通省の仕様書に再生骨材については一行も記述されておらず、再生骨材の導入についての実効性が担保されているとは言い難い。従って、バージン骨材しか使用していないのが実態で、品質が良くてもリサイクル骨材は、使用できない仕様書になっているところである。そこで、これらの現状を踏まえて、以下質問する。

一 公共工事における再生骨材コンクリートの使用状況について

 第百六十八回国会の参議院環境委員会(平成十九年十月二十三日)において、コンクリート廃棄物のリサイクルに関し、資源の面から再生骨材コンクリートの公共工事への積極的な活用について質問したところ、政府から「御指摘のとおり、今後、経済性や地域的偏在あるいは建設市場における流通の状況、再生骨材を使用したコンクリートの性状等、使用可能な技術的条件、これらを総合的に勘案して、より一層の活用について不断の努力をしていきたいと思っております。」との答弁があったが、その後の公共工事での再生骨材コンクリートの使用状況、及び不断の努力がいかなる形で具体的に行われているかについて示されたい。

二 JIS規格認定コンクリート再生骨材の公共工事共通仕様書への追記に関する検討状況について

 さらに同委員会において、JIS規格はあっても共通仕様書の中に明確に記述していないため実際は使えるような状態になっていないとの質問に対し、政府から「現在、公共工事で再生コンクリート骨材を活用しているケース、これについては、御指摘のとおり、共通仕様書にはうたっておりませんが、契約図書の一つである特記仕様書と、ここに必要な事項を規定しているところでございます。今後、先ほど申し上げた総合的な検討を踏まえた上で、共通仕様書も含めた契約図書上の位置付けに関して検討を進めてまいる所存でございます。」との答弁があったが、その後の検討状況について、もし遅れているならばその理由を明示しつつ、示されたい。

三 コンクリート廃材のリサイクル拡大と循環型社会形成について

 資源の有効な利用は、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資することであり、建設資材廃棄物の適正なリサイクルの拡大は非常に重要な取り組みである。
 建設リサイクル法に基づく、コンクリート塊などの廃棄物の分別解体及び再資源化を義務付け、再資源化の徹底を図ることは、循環型社会形成をより一層推進することになる。
 再生骨材の一層の利用拡大を促進するためには、JIS規格認定再生骨材コンクリートを公共工事共通仕様書に早急に且つ明確に記述することが必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。