質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七九号

内閣参質一七三第七九号
  平成二十一年十二月八日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出サハリン(旧樺太)少数民族戦没者の戦後補償に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出サハリン(旧樺太)少数民族戦没者の戦後補償に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、お尋ねの名簿や資料の調査が実施されたかどうかは確認できておらず、お尋ねの政府の基本的な見解についてお示しすることも困難である。

一の2について

 お尋ねの「政府の回答」が行われたかどうかは確認できていないが、政府としては、平成八年十一月に「樺太・千島戦没者慰霊碑」を建立し、少数民族の方を含め、特定の方に限らずその地域の戦没者全体の慰霊を行ってきており、このことによって御指摘の「遺族の声」にも多少なりともおこたえしていると考えている。

二の1について

 御指摘の「提供した資料」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、「サハリン(旧樺太)少数民族」と考えられる者の旧日本軍従軍については、それを記録した資料の存在を含め、調査を実施したことはない。

二の2について

 「サハリン(旧樺太)少数民族」と考えられる方であって、その遺族が戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号。以下「援護法」という。)の規定に基づき遺族年金等を受給していた方は、現時点で四名いると把握しているが、その方々が具体的にどの民族に属しているかは把握していない。また、お尋ねの氏名を明らかにすることは、個人の権利利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

二の3について

 「サハリン(旧樺太)少数民族」と考えられる者の旧日本軍従軍については、調査を実施したことはない。

二の4について

 政府としては、御指摘の「四十名」について、従軍及び徴用の事実関係等を調査することは考えていない。
 また、「サハリン(旧樺太)少数民族」の方々に対しては、今後とも援護法の規定に基づいて遺族年金等を支給することにより、適切に対応してまいりたいと考えている。

二の5の(1)について

 鈴木康生樺太師団参謀が、樺太に赴任した事実については承知している。
 御指摘の日ソ両軍の衝突により少数民族の犠牲が生じ、少数民族の戦犯者の裁判記録が存在するという事実については承知していない。

二の5の(2)から(4)までについて

 政府としては、「サハリン(樺太)少数民族」と考えられる者の旧日本軍従軍についての調査を実施したことはなく、また、御指摘の佐々木氏に対する確認を含め、調査を実施する予定はない。

二の6について

 先の答弁書(平成二十年四月三十日内閣参質一六九第一一二号)三についてで「適切に対応してまいりたい」とお答えした趣旨は、今後とも、国家補償の精神に基づき、軍人軍属であった者等を援護することを目的とする援護法の規定に基づいて、日本国籍を有すること等を要件として遺族年金等を支給することにより、「サハリン(旧樺太)少数民族」の方々に対する援護を行ってまいりたいというものである。

二の7について

 御指摘の「民主党政策集二〇〇九」において「解決」すべき「諸課題」に「サハリン(旧樺太)少数民族」戦没者の戦後補償問題が含まれているかについては、政府としてお答えする立場にない。
 また、お尋ねの遺族会代表等との話合いについての政府の立場は、先の答弁書四についてでお答えしたとおりである。

三について

 我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)に基づき、千島列島及び我が国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部等に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、現在も、また、今後とも、これらの権利等を主張する立場になく、したがって、お尋ねのような考えは有していない。
 北方領土問題については、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針にのっとり、ロシア連邦政府との間で交渉を行っていく考えである。