質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七七号

内閣参質一七三第七七号
  平成二十一年十二月八日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加藤修一君提出八ッ場ダム問題と費用対効果等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出八ッ場ダム問題と費用対効果等に関する質問に対する答弁書

一について

 八ッ場ダムについては、できるだけダムに頼らない治水への政策転換の端緒として、本体工事を中止する考えを表明しているところであり、この政策転換について関係地方公共団体、地元住民等の理解を得られるよう、今後も努力してまいりたい。また、この政策転換を図るため、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理し、これを踏まえて八ッ場ダムの検証を行うこととしている。当該検証の結果を踏まえて行う利根川水系に係る河川整備計画の策定に当たっては、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条の二の規定に基づき、学識経験者、関係住民及び関係都県知事の意見聴取等を行ってまいりたい。

二について

 八ッ場ダムについては、本体工事を中止する考えを表明しているところであるが、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項に規定する基本計画を廃止しようとする考えを示しているに過ぎず、今後、当該基本計画を廃止するに当たっては、同条第四項に規定する手続をとることとなるものであり、同項の趣旨に反するとの御指摘は当たらないものと考えている。

三から五までについて

 ダムを建設した場合には、一般的に、ダム下流における河川の水質悪化、土砂の流れが遮断されることによる河床低下及び河口部の海浜後退等が生じる場合があること、また、これらに対応するための新たな費用が必要となる場合も懸念されることを踏まえ、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を図ることとしており、この政策転換の端緒として、八ッ場ダムの本体工事を中止する考えを表明したものであって、治水事業等に係る投資額の抑制に資することとなると考えている。
 この政策転換を図るため、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理し、これを踏まえて八ッ場ダムを含めた個別のダムの検証を進めていく予定である。
 また、ダム建設予定地等の地元住民の生活再建対策については、関係地方公共団体、地元住民等との話合いを行いながら、検討していくこととしており、「地域住民の翻意を促そうと意図している」わけではなく、「地域住民の心情を軽んずるもの」との御指摘は当たらないものと考える。

六について

 国土交通省所管の公共事業の再評価においては、事業をめぐる社会経済情勢等の変化、事業の投資効果、事業の進捗状況といった事業の必要性等に関する視点、事業の進捗の見込みに関する視点及びコスト縮減、代替案の立案等の可能性に関する視点を基に、事業の継続又は中止の方針を決定することとしており、事業の必要性等に関する視点の一つとして、事業の投資効果を評価するために費用対効果分析を実施することとしている。
 なお、ダム事業に関しては、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を図るため、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理する予定である。

七について

 御指摘の「感想」については、前原国土交通大臣が大臣就任以前に、政治家個人としての見解を述べたものと承知しており、政府としてお答えする立場にない。

八について

 政府としては、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を図るため、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理し、これを踏まえて八ッ場ダムを含めた個別のダムの検証を進めていく予定であり、仮定の御質問についてお答えすることは差し控えたい。