質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五五号

内閣参質一七三第五五号
  平成二十一年十二月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員山谷えり子君提出与那国島防衛に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出与那国島防衛に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「領海侵犯」の意味するところが必ずしも明らかではないが、最近五年間において、与那国島周辺の領海内で正当な理由なく停留、はいかい等を行う外国籍船舶を確認した事案としては、平成二十一年五月二十二日午前八時四十分頃、海上保安庁の航空機が与那国島の北方約七海里付近海域に正当な理由なく漂泊している米国籍海洋調査船「Melville」を確認した事案が一件ある。同船に外観上特異な行動は認められず、海上保安庁の航空機から正当な理由のない漂泊は認められない旨伝えたところ、同船は了解し速やかに領海外へ退去した。なお、我が国は、同船による我が国の排他的経済水域における海洋の科学的調査の実施について、事前の同意を与えていたものである。

二及び三について

 我が国としては、我が国周辺を飛行する航空機の識別を容易にし、もって領空侵犯に対する措置を有効に実施するため、防空識別圏を定めているが、防空識別圏は、我が国の領空又は領土の限界又は範囲を定める性質のものではなく、防空識別圏の外においては航空機の識別を全く行わないことを意味しているものではない。御指摘のとおり、「与那国島の西側上空三分の二が台湾の防空識別圏となって」おり、我が国の防空識別圏外にあるが、与那国島周辺の領空については、防空識別圏外の空域も含め航空機の識別を行うとともに、対領空侵犯措置を適切に実施しているところである。
 また、与那国島上空の防空識別圏を見直すことについては、台湾側との関係も含めて総合的に検討する必要があると考えているが、自衛隊による警戒や対領空侵犯措置を通じ与那国島島民の方々が安心して生活できるよう万全を期してまいりたい。

四について

 政府においては、島嶼部に対する侵略等に実効的に対処し得るよう、適切な防衛力の整備に努めてきたところであるが、島嶼部の防衛の重要性にもかんがみ、与那国島への自衛隊の部隊配備を含む先島諸島における防衛態勢の整備については、我が国を取り巻く安全保障環境等を十分に踏まえて検討していく考えである。

五について

 政府としては、与那国島の振興については、沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)及び沖縄振興計画に基づき、地域の特性や魅力を最大限に発揮しつつ、地域の活性化を図るため、今後とも沖縄県や与那国町と連携し、農林水産業や観光・リゾート産業を始めとする産業の活性化、交通基盤や生活環境基盤の整備等の取組への支援等に努めてまいりたい。