質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一七三第五三号
  平成二十一年十二月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員山内徳信君提出米軍の高速道路利用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山内徳信君提出米軍の高速道路利用に関する質問に対する答弁書

一について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第五条2は、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課さない旨規定していることから、我が国に駐留する合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)の公務のために使用される車両については、有料道路通行料金が課されないものと解してきている。

二及び五について

 合衆国側からは、従来から、合衆国軍隊が発給する軍用車両有料道路通行証明書(以下「通行証」という。)が日米地位協定の趣旨に反する形で不適切に使用されることはない旨の説明を受けてきたところである。
 他方、本年十月二十三日、会計検査院長から防衛大臣に対し、会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第三十六条の規定に基づき、合衆国の軍用車両の有料道路の通行に伴う有料道路事業者に対する損失補償(以下「有料道路損失補償」という。)について、「通行証の記載状況について、記載漏れはないか、発行責任者は適切かなどを十分確認すること」等の改善の処置が要求された。
 政府としては、当該要求を踏まえ、合衆国側に対し、公務のために使用されない車両に対し通行証の発給を行わないこと及び通行証の使用については、その目的を踏まえ、厳格かつ適正に行うことを求めるとともに、記載事項に不備のある通行証や使用目的に疑義のある通行証が発給又は使用されることがないよう、効果的な調査確認体制の整備等を図るため、必要な調整を行いたい旨を申し入れたところであり、今後とも、有料道路損失補償の運用に疑義を持たれることがないよう適切に対応する考えである。

三について

 お尋ねの「都道府県ごとの請求件数及び請求額」については把握しておらず、また、御指摘の「不正請求の疑い」が何を指すのか必ずしも明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、平成二十年度において、防衛省が有料道路事業者からの請求に基づき補償した有料道路損失補償の件数及び金額を当該有料道路事業者ごとにお示しすると次のとおりである。
1 東日本高速道路株式会社
 北海道支社 四件 二十二万九千四百二十七円
 東北支社 四件 千五百六十万千二百三十六円
 関東支社 八件 二億五千二百四十四万五千二百三十四円
 新潟支社 四件 百五十二万九千二百八十三円
2 中日本高速道路株式会社
 八王子支社 四件 四千二百三十六万六千三百十三円
 東京支社 三件 二千八百六十二万九千三百七円
 横浜支社 一件 八百九十万千七百四十八円
 名古屋支社 四件 二百五十九万千九百九十八円
 金沢支社 四件 七万千九百九十八円
3 西日本高速道路株式会社
 関西支社 四件 七百二十八万千四百二十七円
 中国支社 四件 四千五百十七万二百八十四円
 四国支社 四件 二十万四千五百六十九円
 九州支社 四件 七千六百七十三万三千二十七円
 九州支社沖縄管理事務所 四件 一億九千百八十四万三千百八十八円
4 首都高速道路株式会社 十二件 一億三千八百二十八万九千三百二十一円
5 阪神高速道路株式会社
 大阪管理部 四件 四十七万八千三百二十二円
 神戸管理部 四件 十九万六千二百九十五円
 京都事業部 二件 五千百四十八円
6 本州四国連絡高速道路株式会社
 神戸管理センター 四件 十四万三千六百十七円
 岡山管理センター 四件 二十四万九千五百七十円
 しまなみ尾道管理センター 四件 十三万千六百十七円
7 株式会社グランビスタホテル&リゾート 四件 七万千二百六十四円
8 箱根ターンパイク株式会社 四件 四万九百五十一円
9 芦ノ湖スカイライン株式会社 三件 八千五百七十円
10 関西国際空港株式会社 四件 十七万五千四十六円
11 比叡山自動車道株式会社 一件 二千九百七十一円
12 神奈川県 四件 九千二百二十五円
13 青森県道路公社 四件 百六十二万五千四百七十四円
14 宮城県道路公社 三件 三万二千百四十一円
15 山形県道路公社 一件 三千円
16 東京都道路公社 四件 三万八百五十五円
17 栃木県道路公社 四件 九万九千四百五十六円
18 神奈川県道路公社 四件 三千七百五十七万二千四十一円
19 山梨県道路公社
 富士山有料道路管理事務所 四件 百三十五万六千八百五十五円
20 名古屋高速道路公社 四件 六万六千八百五十六円
21 愛知県道路公社 四件 二万八百五十五円
22 兵庫県道路公社 三件 三万四千五百六十九円
23 奈良県道路公社 三件 二万六千八百八円
24 京都府道路公社 一件 一万二千円
25 富山県道路公社 一件 百九十円
26 大阪府道路公社 二件 八百五十六円
27 広島高速道路公社 四件 五十四万三千四百二十七円
28 広島県道路公社 二件 千七百六十一円
29 山口県道路公社 四件 三万千四百二十六円
30 福岡北九州高速道路公社 四件 六百七十八万二百八十三円
31 福岡県道路公社 四件 四万八千七百二円
32 長崎県道路公社 四件 三十二万九千三百十六円
33 大分県道路公社 二件 二千七百十三円
34 宮崎県道路公社 四件 一万四千百八十八円

四について

 日米地位協定第五条2に規定する「合衆国の軍用車両」とは、合衆国軍隊の公務のために使用される車両と解しており、当該公務とは、公の目的のための用務という意味と解している。したがって、合衆国軍隊の構成員等が個人で所有する車両であっても、かかる公の目的のための用務に使用される場合には、日米地位協定第五条2に規定する「合衆国の軍用車両」と判断しているところである。