質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質一七三第三五号
  平成二十一年十一月二十四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加藤修一君提出「グリーン産業革命」を目指した電気自動車等のエコカーの加速的普及策の確立等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出「グリーン産業革命」を目指した電気自動車等のエコカーの加速的普及策の確立等に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国は、二千十三年以降の地球温暖化対策について、地球温暖化を止めるために科学の要請する水準に基づくものとして、千九百九十年比で言えば二千二十年までに二十五パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すとの目標を表明している。この目標は、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を、前提とするものである。
 御指摘の「中期目標」及び「普及目標」は、二十五パーセントの削減目標の達成に向けた各分野における技術の導入見通し、経済効果、雇用に与える影響等のことを指すものと考えられるが、これらについては、地球温暖化問題に関する閣僚委員会副大臣級検討チームの下に設置したタスクフォースにおけるモデル分析等も踏まえ、地球温暖化問題に関する閣僚委員会等の場において、議論していくこととしている。
 御指摘の「中間目標」の設定の必要性及び御指摘の「中期目標」の見直しの時期については、二千十三年以降の地球温暖化対策についての国際交渉の動向も見極めた上で、今後判断すべきものと考えている。

二について

 政府としては、環境対策及び景気対策を効果的に実現する観点から、環境性能に優れた車の購入を促進するため、いわゆるエコカー減税やエコカー補助金といった支援措置を講じている。
 いわゆるエコカー減税は、平成二十一年度から三年間の時限措置として講じているものであるが、今後の取扱いについては、税制調査会における議論を踏まえ、適切に対応してまいりたい。また、いわゆるエコカー補助金は、平成二十一年度第一次補正予算により講じている措置であるが、今後の取扱いについては、経済情勢や財政面での制約なども踏まえつつ検討してまいりたい。
 なお、御指摘の自動車ローンに係る優遇措置については、販売を拡大する観点から、民間事業者が自らの負担により実施しているものと認識している。

三及び五について

 電気自動車等については、本年度から国内自動車製造事業者による本格的な市場投入が開始されており、我が国の二酸化炭素排出量の削減や産業競争力の強化の観点から、今後の普及が期待されるところである。
 一方、電気自動車等の普及に当たっては、ガソリン自動車等と比して高価格であるというコスト面の課題や、走行距離が短い等の性能面の課題が存在している。これらの課題を解決するためには、その基盤技術となる蓄電池の低価格化及び高性能化を実現することが必要であると考えている。
 このため、政府としては、現在電気自動車等で主に使用されているリチウムイオン電池の更なる低価格化及び高性能化に向けた技術開発や、リチウムイオン電池に代わる次世代の革新的な蓄電池の研究開発に対し、支援を実施している。諸外国においても、電気自動車等の世界的な市場拡大を見込んで積極的な政策支援が行われていることを踏まえつつ、今後とも蓄電池技術の開発に対する適切な支援措置について検討してまいりたい。
 また、電気自動車等の普及に当たっては、御指摘の充電設備の整備も重要な課題と認識している。このため、政府としては、急速充電設備の設置に対する助成や、大規模駐車場における充電設備の最適化システム及びガソリンスタンド等における充電サービスに関する開発及び実証等を実施しており、今後とも適切な支援措置について検討してまいりたい。

四について

 政府としては、「新経済成長戦略のフォローアップと改訂」(平成二十年九月十九日閣議決定)に基づき策定された「レアメタル確保戦略」(平成二十一年七月二十八日経済産業省公表)に基づき、海外資源確保、リサイクル、代替材料開発及び備蓄の四つを柱として、総合的かつ戦略的にレアメタルの確保に取り組むこととしている。
 御指摘の資源外交への戦略的取組については、関係省庁、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構等の独立行政法人及び民間企業が連携し、資源探査や環境保全等に関する我が国の強みを活かして資源国の多様なニーズに応えることにより、資源国との戦略的互恵関係を構築してきている。
 御指摘の海水からの鉱物資源の抽出については、例えば、独立行政法人産業技術総合研究所が、海水からのリチウム抽出技術の確立に向けた研究を実施している。
 御指摘の電気自動車の廃棄電池等に関する再生利用システムの整備については、既に自動車製造事業者を中心に廃棄電池等の自主的な回収体制が構築されているが、今後、これらの廃棄電池等からリチウムを含むレアメタルの回収を進める必要があることから、政府としては、廃棄電池等からレアメタルを回収するための技術開発に対し、支援を実施している。