質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質一七三第三四号
  平成二十一年十一月二十四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加藤修一君提出生物多様性等の確保にかかる環境調和型河川構築物等の推進と地域活性化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出生物多様性等の確保にかかる環境調和型河川構築物等の推進と地域活性化に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「河川および河川構築物における生物共生に関する全国実態調査」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、国土交通省において、一級河川の直轄管理区間に設置された魚道を対象として、当該魚道の配置及び構造、対象とする魚類並びに当該魚類が魚道を遡上できるかどうかに関する調査(以下「河川の連続性実態調査」という。)を現在行っているところである。
 また、御指摘の「魚道や小生物の生態系への影響に十分に対応した遡上のためのバリアフリー型技術」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、堰等の河川工作物の設置等に当たっては、魚類や甲殻類の遡上環境改善の技術開発や実験的な魚道の整備等を行い、これらを通じて得られた知見も活かしながら各地で魚道の整備等を計画的に進めているところであり、これまでに設置した魚道等の状況も確認しながら、引き続き技術の改善を進めてまいりたい。

二について

 御指摘の「COP一〇に向け、それに対応できる河川構築物を含めた設置の在り方」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、平成十七年に効果的な魚道整備等の方法をまとめた「魚がのぼりやすい川づくりの手引き」を作成し、これに基づく魚道の整備等を計画的に進めているところであり、引き続き、河川の連続性実態調査の結果も踏まえ、魚類や甲殻類の遡上環境改善のための所要の対策を計画的に行ってまいりたい。

三について

 政府としては、環境や歴史的風土と調和した河川管理は重要であると認識しており、平成十八年十月十三日に国土交通省河川局長から各地方整備局長、各都道府県知事等に対し通知した「多自然川づくり基本指針」においても、すべての川づくりの基本として、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」を示しているところである。

四について

 国土交通省においては、近畿地方整備局内の四事務所において、行政と住民との間の橋渡し役となって、河川環境の保全や河川の安全利用に関する啓発等の一定の河川管理上の役割を担う河川レンジャー制度を試行的に運用しているところである。今後、この試行の結果も踏まえて、行政と住民との間の橋渡し役の育成支援やその配備の在り方について必要に応じて検討してまいりたい。

五について

 河川周辺地域と一体的に行う河川環境整備として、例えば、兵庫県内を流れる円山川等において、河川管理者と関係機関等が協議会を設置し、生物の良好な生息環境の保全・創出に関する連携した取組を実施しているところである。
 また、河川流域において、下水道整備や農地における各種汚濁負荷削減対策等を推進しているところであり、特定の水環境の悪化が著しい河川等においては、「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」に基づき、地元市町村、河川管理者、下水道管理者及び関係者が一体となって、特定汚染源対策及び非特定汚染源対策に総合的に取り組んでいるところである。さらに、魚道整備や良好な瀬と淵の形成等の施策を進めているところであり、これらを含め、健全な水循環の進展に資する取組を今後も進めてまいりたい。

六について

 政府としては、流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の協働により、流域ごとの特性に応じた水質、水量、水生生物及び水辺地を含む水環境が保全されるとともに、その持続可能な利用が図られ、環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵を最大限享受できる社会を構築することが重要であると考えており、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成及び実行の促進及び支援を行っているところである。

七について

 お尋ねの「これを併設した河川構築物への助成支援」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、現在でも、低炭素社会の構築を目指す観点から、いわゆる小水力発電の導入を促進するため、例えば発電出力が千キロワット以下の水力発電の導入について事業費の一部を補助するなど、調査から設計、建設に至る様々な段階で支援措置を講じているところであり、引き続き、必要な施策を講じてまいりたい。